苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

冬になる前に

何とかして、冬になる前に来てください。(2テモテ4:21)

 老使徒パウロは、今、獄中にあってこの手紙を書いていて、「私は今は注ぎの供え物となります。私が世を去るときはすでに来ました。」とあるように、彼は殉教の覚悟を固めている。固めているが、獄中の寒さが迫っているから「トロアスでカルポのところに残しておいた上着を持ってきてください。」といい、最期の瞬間まで神のことばを研究するためであろう「書物を、特に羊皮紙の物を持ってきてください。」と言っている。
 パウロの手紙は、まことに不思議な書物である。それは神と人間と世界の真理についての論文のようでもあり、父が子に送る、あるいは、師が弟子に送る手紙のようでもある。具体的な歴史の日常の中に、真理のことばが息づいているのである。新約聖書全体がそうである。福音書は格別そうであって、歴史の只中に真理が生きて語り、愛し、行動している。ロゴスが人となって私たちの間に住まわれたからである。