苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ローズンゲン6月12日 金銭を愛する者

伝道者の書5:10
文語訳:
銀を好む者は銀に飽こと無し 豊富ならんことを好む者は得るところ有らず 是また空なり
口語訳:
金銭を好む者は金銭をもって満足しない。富を好む者は富を得て満足しない。これもまた空である。
新改訳:
金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。これもまた、むなしい。
新共同訳(コヘレト5:9):
銀を愛する者は銀に飽くことなく、富を愛する者は収益に満足しない。これまた空しいことだ。
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 どんなに空腹でもある程度食べたら満腹になる。だが、「飽くこと」「満足すること」ができないというのが、金銭欲の特徴である。なぜ、そんな不思議なことが起こるのか?
 金銭は本来、物々交換の不便さから人を解放し流通を便利にする道具、経済の血液であった。だが、物品を金銭に換算するという作業によって、金銭が物品の価値の基準になってしまい、あたかも金銭自体に価値があるかのようなフィクションが成り立ってしまう。しかも、金銭は腐って価値が減ることはないし、銀行に預ければ利子まで付くので、金銭を蓄えようということになる。本来金銭は流通を便利にする道具、経済の血液であったのに、それが蓄財によって流れなくなってしまう。経済全体をからだと見れば、鬱血である。鬱血すれば、からだ全体が病むことになるように、内部留保ばかりして、従業員に正当な賃金を支払わず、下請けに正当な代金を支払わない大企業によって、経済は鬱血状態に陥っている。
 金銭が腐らず(減価せず)、利子までつくという性質をつけられているから、こういうことになる。金銭が時が経つと減価するという仕組みにしておけば、人は蓄財欲から解放される。月初めに100万円だが、月末には90万円になるならば、人は消費活動に走る。すると経済がぐるぐる回り始め、景気が良くなる。
 シルビオ・ゲゼルという人がこういうことを考えて、ある国の経済を立て直したと何年か前に読みました。そのことを思い出してつらつらと書いてしまいました。
 被造物はすべて時とともに古びて価値が失われていくものなのに、金銭は時とともに価値を増していくという被造物にあるまじき利子の仕組みが付けられていることに問題の根っこがあるわけです。拝金主義の罠。そして、 結局、この拝金主義が、原発再稼動、戦争、環境破壊の根っなのでしょう。

「金銭を愛することが、あらゆる悪の根だからです。」(1テモテ6:10)


 今朝は、曇っています。小雨も降ってきそうです。梅雨ですね。