詩27:13
われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや(文語訳)わたしは信じます、
生ける者の地でわたしは主の恵みを見ることを。(口語訳)ああ、私に、
生ける者の地で【主】のいつくしみを見ることが
信じられなかったなら──(新改訳)わたしは信じます、命あるものの地で主の恵みを見ることを。(新共同訳)
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13節の訳文としては、文語訳と新改訳が類似し、口語訳と新共同訳が類似している。文語訳と新改訳のほうが、ヘブル本文における冒頭ルーレ(unless)訳しだされている。もし信じられなかったら、どんなことになっていたことか・・・信じられてよかった!というニュアンスに訳されている。
詩人は四面楚歌の状況にあった。「悪を行う者が私の肉を食らおうと」に襲いかかり(2節)、「偽りの証人どもが」彼に敵対する暴言を語っている(12節)。「ダビデは王様に謀反の心がある」のですとサウル王に讒言する者たちがおり、サウル王が彼のいのちをなきものにしようとするという状況を思い出しつつ歌っているのではなかろうか。
サウルの魔手から剣も食料も持たずに逃れて、ダビデがまず身を寄せたのは主の宮(幕屋)だった。4,5節。「私のいのちの日の限り、【主】の家に住むことを。【主】の麗しさを仰ぎ見、その宮で、思いにふける、そのために。それは、主が、悩みの日に私を隠れ場に隠し、その幕屋のひそかな所に私をかくまい・・・」(4,5節)
孤立して、彼はひたむきに主を慕い求めている。
「 どうか、御顔を私に隠さないでください。
あなたのしもべを、怒って、押しのけないでください。あなたは私の助けです。私を見放さないでください。見捨てないでください。私の救いの神。」(9節)
悪者が肉を食らおうと迫り、権力者に剣をもって追い詰められ、そのいのちは絶体絶命。詩人は主を、ひたすら主を求め、主が自分を死を見せず、危機から救い出し、生ける者の地で主の恵みを見せてくださると信じた。信じられた。ひたすらに主を慕う魂を、主は愛い者と見てくださる。