苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

世界水準でいえば、現代日本は「美しく安全」です

読者の皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 聖書に「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべてのことについて感謝しなさい。これがキリスト・イエスにあって、神があなたがたに望んでおられることです。」とあります。私たち日本人は、百点を基準にしてどれだけ欠けているかを数えがちなのですが、今、目の前にすばらしいことはたくさんあるのですから、それを数えたいと思います。
 今、日本という国は、世界でもまれに見る美しく安全な国です。外国から帰ってきた人は、道端に自動販売機が置かれているのを見て、異口同音に「日本はほんとうに安全で平和だねえ。」と言います。商品とお金が放置されていても、誰も盗もうとしないからです。先日、自動販売機を壊してお金を盗もうとした少年二人のことがニュースになっていましたが、それがニュースになるほど珍しいことなのです。世界では、外に設置された自動販売機から盗む人がいなければニュースになります。
 私たちは、マスコミのせいで、近年、恐ろしい少年犯罪が急増しているようなイメージを持たされています。そして、戦前の少年少女たちは愛国心に燃えていて規律正しく少年犯罪などなく、「美しい国、日本」だったのだという幻想を持たされていないでしょうか。しかし、これは、妄想か嘘です。少年犯罪データベース主宰管賀江留郎氏が国立国会図書館で調査しつくさんばかりにして書いた著書『戦前の少年犯罪』で、明らかにした結論は、戦前の少年犯罪の実態は今日よりもはるかにひどかったという事実です。こんな文章で要約されています。
「昭和二年、小学校で九歳の女の子が同級生殺害。昭和十四年、十四歳が幼女二人を殺してから死体レイプ。昭和十七年、十八歳が九人連続殺人。親殺し、祖父母殺しも続発。現代より遙かに凶悪で不可解な心の闇を抱える、恐るべき子どもたちの犯罪目録!なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?発掘された 膨大な実証データによって戦前の道徳崩壊の凄まじさがいま明らかにされる! 学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた。」
 目次を紹介しますと・・・
一.戦前は小学生が人を殺す時代
二.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
三.戦前は親殺しの時代
四.戦前は老人殺しの時代
五.戦前は主殺しの時代
六.戦前はいじめの時代
七.戦前は桃色交友の時代
八.戦前は幼女レイプ事件の時代(以下省略)
・・・となっています。
 また、戦後の十代の少年犯罪数の動向を警察庁犯罪統計書で調べると、戦時下の空気が残っていた一九五十年から六十年の年間四百人超をピークとして、一九七○年代半ばから激減して今は年間七十人台です。
 はっきりと言えることは、「戦争をする国」の社会では、凶悪犯罪が激増するという事実です。戦地では、殺人・暴行・破壊活動といった行為が賞賛されるので、戦争をする国の社会には、戦地の価値観が反映し、勇ましげなこと・暴力が容認されるからです。米国社会には、「男は人殺しができて一人前だ」という価値観があるそうです。その上、戦地で心的外傷を負った帰還兵たちが、家庭と社会に適応できず犯罪に走ったり自殺したりして、米国社会は病んでいます。米国で凶悪犯罪に巻き込まれる可能性は、なんと日本の五十倍です。
 「美しい国」を戦前に探すのはまことに愚かなことです。さまざまな問題があるのは事実ですけれども、平和を希求してきた戦後日本こそ世界一安全で美しい国なのです。「戦争をする醜い国」に堕落させてはなりません。
(通信小海256号から)


警察庁「犯罪統計書」による。
比率の昭和21〜平12年は「犯罪白書」による。それ以外は総務省統計局サイトの各年の10月1日現在年齡別推計人口確定値を元に独自に算出したもの。
昭和20〜47年5.14の沖縄の事件と人口を含まない。 http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm