今、従軍慰安婦問題にかんして朝日新聞が誤報をしたとさんざん叩かれている。だが、あの叩き方では、読者はあたかも強制されて従軍慰安婦になった女性がいなかったかのような錯覚へとミスリードすることを意図しているかのようだ。
実際には、朝日新聞の誤報は、慰安婦を集めるにあたって、「(官憲が)人さらいのように、人の家に入っていってさらってきて、いわば慰安婦にしてしまったということ」(安倍首相 2013年2月7日衆議院予算委員会)についての文書資料は見つからないという一点である。言い換えれば、人さらいのようではない「広義の強制」による集め方をしていたことは安倍首相も認めている。だからこそ、すでに7年前、安倍総理は、従軍慰安婦問題でブッシュ大統領との会談で謝罪表明をしている。
日本軍は、民間業者に委託して、「広義の強制性」を伴う方法で、女性たちを従軍慰安婦にして戦地に送り込んだ。慰安所の周辺は、兵士たちが厳しく出入りを管理した。そして、戦闘になれば、ある場合には、軍は彼女たちを置き去りにして行った。女性たちをこういう目に遭わせたことを考えれば、たとえ「狭義の強制性」がなかったとしても、「広義の強制性」でもって十分犯罪的な恥ずべきことを行なったと認めるのがまともではないか。
こうしてみると、最近、見られる「朝日新聞が従軍慰安婦問題を捏造した」というような論調こそが、大局的に見て誤報である。
ちなみに、元総理大臣中曽根康弘氏が、海軍主計中尉だった時代、兵士たちのために慰安所の設置を行なったという文書史料がある。下を参照。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20130516/p3
<追記>
では、「人さらいではない広義の強制」の中身とはどういうものだったのか?下記参照。
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20121213/p1