苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

世界のひんしゅくを

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013080302000238.html
 【ベルリン=宮本隆彦】麻生太郎副総理兼財務相改憲問題をめぐる発言で、戦前ドイツのナチス政権を悪い例としてあげたと釈明したことを受け、独紙フランクフルター・アルゲマイネは二日「聞いた人はそんな理解はしないだろう」と批判的に報じた。
 記事は「ただの『誤解』だ」との見出し付きで麻生氏の釈明を引用。発言の詳細や経緯に加え、安倍政権が改憲を目指している状況や、韓国や中国が反発した事情も伝えた。
 フンボルト大で現代史を研究するマルティン・ザーブロ教授(59)は本紙の取材に「ヒトラーは反対する共産党を迫害しながら自身に権力を集中させる全権委任法を成立させた」と説明。「ワイマール憲法がいつの間にか変わっていた」とする麻生氏の発言は誤りだと指摘した。
 その上で「独裁の手口から学びたいとの欲求は、他人の人権を否定し、自らが民主政治に参加する資格をも失わせる」と批判した。
 ドイツでは、ナチスユダヤ人大量虐殺を実行した反省から、ナチスを賛美する言動が刑法で禁じられている。社会もナチスを肯定的に扱うことを許さない。昨夏のバイロイト音楽祭では、出演予定のロシア人歌手が過去にナチスの象徴である「かぎ十字」の入れ墨をしていたことが発覚し、直前に降板した。(東京新聞2013年8月3日 夕刊)

 麻生太郎財務大臣は、今回の「ナチスの手口に学べ」発言について、「誤解を招いた」とごまかして発言を撤回すると表明したが、「謝罪はしない」そうである。けれども、国際世論はけっして収まらない。諸外国の反応を見れば、いまさらながら麻生さんの発言は国際的に非常識で許容できないものなのである。麻生さんになんの処分もしないならば、こういう発言を許しておく日本政府も日本人も世界の顰蹙の的になってしまう。いや、残念なことだが、すでになってしまっている。
 私の脳裏に浮んだのは、以前に聞いた、ある将校たちの国際会議での出来事である。ある国の代表が「わが国の兵士は神以外の何者をも恐れないのであります。」と胸を張った。すると大日本帝国の代表は立ち上がると、「わが国の兵士は神をも恐れないのであります。」と胸をそびやかしたという。すると諸国の代表たちは眉をひそめて顔を見合わせて嗤ったという。西洋人がみな真の意味で神に対して正しい畏敬をもっていたとは思わない。だが、神をも恐れないなどということを公式の場で発言することは、自ら人間失格でありどんな不道徳なことも平気でしますよ、と言うようなものだからである。
 このところ、自民党の政治家たちは額に手をあててやりたくなるような常軌を逸した発言が多すぎる。「天賦人権説には立たない」とか、「立憲主義など知りません」とか。そして、今度は「ナチスの手口に学べ」とか。日本の独自の文化と伝統を大切にするというけれど、あまりにも御山の大将というか井の中の蛙というか。