苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ほんものの勇者

特集ワイド:憲法よ 武装解除を指揮した伊勢崎賢治さん
毎日新聞 2013年07月25日 東京夕刊


こういう人こそ、ほんものの勇者なのでしょうね。いや、それにしても、ほんとに勇敢な人です。

<この国はどこへ行こうとしているのか>

 ◇「丸腰」は信頼される−−武装解除を指揮した伊勢崎賢治さん(56)

 ◇暴走する国際社会にブレーキをかけられるのは9条を持つ日本しかない

 東京・杉並の住宅街にある一軒家。伊勢崎賢治さんが招き入れてくれたのは、路地に面した4畳半ほどの仕事部屋だ。雑然と書類が積まれた机に頑丈そうな腕時計が置いてあった。金属のバンドに、小さな丸いメーターのようなものが付いている。

 「これ、方位磁石。ヘリコプターが落ちた時、敵のいる方向に歩いて行ったらまずいから。僕らには必需品でね」

 日本政府代表や国連職員としてアフガニスタンシエラレオネなどの紛争地に乗り込み、軍閥民兵から武器を取り上げるDDR武装解除・動員解除・社会復帰)を指揮してきた。紛争や内戦の最前線を渡り歩いてきた自称「紛争屋」の現実がそこにある。

 腕時計を見つめていたら、なんだか照れくさそうに片付けてしまった。

 以前から「憲法9条は変えるべきではない」と発言してきた。近年その思いを強くしている。

 「日本にいると、あまり実感できないと思いますが、9・11以降、国際社会で集団的自衛権を巡る状況がかなり変化しています」。米国を中心とする対テロ戦争の長期化に伴い、集団的自衛権が行使されるケースが増えているという。北大西洋条約機構NATO)などの同盟国が人道主義大義名分に「悪い政権」を転覆させる。2011年、リビアカダフィ政権が倒れたのはその典型だ。

 「国連が紛争防止や調停に乗り出す前に、いきなり伝家の宝刀を抜くようなもの。僕はこれが非常に気持ち悪い。こういう狂気に日本が巻き込まれるのが嫌なんです。暴走する国際社会にブレーキをかけ、世界に正気を取り戻す国が一つくらいなくてはいけない。それは9条を持つ日本しかない」

 大学院で都市計画を専攻し、将来に迷っていた時、偶然インド政府の国費留学生募集の張り紙を見て応募した。スラム街で貧困状態を改善する住民運動にのめり込み、国際NGOに就職。アフリカの貧困国で学校や道路建設などのインフラ整備に取り組んだ。途上国での活動を買われ、外務省の誘いで00年、国連から東ティモールの県知事として派遣された。そこで国連平和維持活動(PKO)にかかわったのが「紛争屋」になるきっかけだった。

 伊勢崎さんが取り組んできたDDRは命がけの交渉だ。紛争地でゲリラや反政府軍の責任者に会い、武器を捨て、組織を解体するよう説得する。内戦や紛争の背景には必ず貧困があるため、武器を捨てた兵士が生活できるよう職業訓練など見返りの提案もする。銃をちらつかされることもあるが、こちらは丸腰。相手の懐に飛び込み、信頼関係を作らないと話は進まない。

 伊勢崎さんは「紛争国があれば、その国へ行ってより良い制度や社会基盤作りを支援して、安定した社会を取り戻せるよう協力するのが私たち先進国の役割。それは憲法前文や9条がうたっていることと矛盾しない」と考える。そして「この役割を果たすには自衛隊の派遣が必要だ」と言い切る。9条と海外派遣が矛盾しないとは! しかも「これまでのように安全な場所でじっとしているのでは意味がない。もっと役に立つ形で活用すべきだ」という。

 それは、国連が紛争地に送り込む「軍事監視団」への派遣だ。紛争を起こしている勢力の間に入り、武力衝突が起きないよう双方の軍事的な動きを監視する少数精鋭の組織。メンバーは武器を持たない。「これなら憲法改正の必要はなく、武力行使もない。だが武装解除と同様、丸腰で武装組織の懐に入っていくため何倍も危険で、高度な知識や判断力が求められる。そのリスクを負わないと前文と9条の精神は生かせないんですよ」とあっさり言う。

(続きはリンク先を読んでください。)
http://mainichi.jp/feature/news/20130725dde012040041000c.html