苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

自主憲法論は奴隷の道、日本国憲法こそ自主の道

自主憲法制定論は奴隷の道である

 1952年、公職追放を解かれた岸信介は「自主憲法制定」「自主軍備確立」「自主外交展開」を三大スローガンとして、日本再建連盟を設立して会長となった。ところが、この安倍晋三がこよなく尊敬する祖父岸信介は、すでに周知のことであるが、CIAのエージェントであり、米国から莫大な政治活動資金を得て活動していた。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20110306/p1
岸信介とCIA http://www.yamamotomasaki.com/archives/384

 1949年10月1日に中華人民共和国が成立し、1950年6月25日に朝鮮戦争が始まると、米国は日本を共産主義に対する防波堤とすべきだと考えるようになった。そして、日本国憲法9条戦争放棄条項が邪魔になってきた。9条ゆえに、日本の兵士を朝鮮戦争に使役することができないからである。朝鮮戦争は1953年7月まで続いた。
 こうしてみると、CIAのスパイである岸が、なぜ「自主憲法制定」「自主軍備確立」を訴えたか、その理由は、あきらかであろう。日本に米国の戦争の下請けをさせる上で、日本国憲法9条戦争放棄条項が邪魔だったからにほかならない。自主軍隊を持つことによって、やがては米国からの独立を果たすことを腹の底で考えていたのだといううがった見方もあるけれども。
 今日の自主憲法制定論者たちも同じことである。2012年4月27日の自民憲法改正草案は自衛隊国防軍とする9条改正に付して集団的自衛権行使を唱えている。


日本国憲法こそ自主の道である


 逆に、「米国から押し付けられた」と宣伝されている日本国憲法こそ、実は自主憲法である。二つの根拠がある。 
 第一に、日本国憲法の<国民主権基本的人権尊重・戦争放棄>という三大原理はいずれも日本人の発案だからである。基本的人権の尊重と国民主権という二つの原理は、明治の自由民権運動家、植木枝盛らの憲法草案という源泉から鈴木安蔵が汲み上げ、憲法研究会による「憲法草案要綱」として、GHQに提出されて、GHQがこれを翻訳し肉付けして英語版日本国憲法となり、それが、時の日本政府に「押し付けられた」のだった。
 そして、日本国憲法戦争放棄条項の発案者は、総理大臣幣原喜重郎であった。これら二つの事実について詳しくは、こちらを参照。
☆参照→http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/searchdiary?word=%CE%EB%CC%DA%B0%C2%C2%A2

 第二に、日本は憲法9条の戦争放棄条項のゆえにこそ、米国の戦争に巻き込まれることなく、自主の道を歩むことができたからである。憲法9条のなかった韓国はベトナム戦争に延べ35万人の兵士を出させられ、4万人のベトナム人を殺し、5000人の戦死者を出した。もし9条がなければ、自衛隊朝鮮戦争ベトナム戦争湾岸戦争イラク戦争、その他で多くの血を流させられたであろう。
☆参照→http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/searchdiary?word=%BC%AB%BC%E7%A4%CE%BA%D6
 以上のようなわけで、いわゆる自主憲法制定こそ対米追従の奴隷の道であり、日本国憲法こそ自主の道なのである。自民党憲法改正草案が実現され9条が改変されていくならば、日本はますます奴隷化へと進むことになってしまう。