あす主の日から待降節に入る。マリアによる賛美マグニフィカートが歌われることだろう。その中に、次のような歌詞がある。救い主が来られ、もたらしたまう世界はこのようなものだ、と。
主は、御腕をもって力強いわざをなし、
心の思いの高ぶっている者を追い散らし、
権力ある者を王位から引き降ろされます。
低い者を高く引き上げ、
飢えた者を良いもので満ち足らせ、
富む者を何も持たせないで追い返されました。
ルカ1:51−53
現在、日本では非正規雇用は二人に一人1700万人、年収200万円以下ワーキングプアが1100万人以上。筆者は一度川崎のネットカフェなるものに入ってみたことがあるが、椅子にはその日の仕事にありつけなかった若者たちが、疲れ果てた顔をして眠っていた。ネットカフェ難民である。アメリカ様が自国の資本が日本に入りやすくするために策定した「年次改革要望書」どおりに行なった小泉竹中改革によって(実はその前からだが)、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなった。先日取り上げたグラフをもう一度見て欲しい。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20121125/p2
日本は、徴税をして富を再分配すると、貧困率がさらに上昇するという世界でも珍しい現状である。「富む者を良いもので満ちたらせ、飢えた者を何も持たせないで追い返す」税制が行なわれているのである。この格差をさらに拡げようというのが、消費税増税である。消費はさらに冷え込んで、景気極寒となる。その上、TPPに加盟すれば医療費がバカ高くなる。
主は、今の日本の格差社会を見て、キリスト者たちよ、何をしているのか、と叱咤なさるのではないか。私たちはこうした格差を小さくしようと努力すべきだし、選挙においてはそういう仕事をする政権を選ぶ責任がある。よく祈りよく考えて投票しなければならない。
<追記 年次改革要望書にしたがってなされたこと>
1997年 独占禁止法改正・持株会社の解禁
1998年 大規模小売店舗法廃止、大規模小売店舗立地法成立(2000 年施行)、建築基準法改正
1999年 労働者派遣法の改正、人材派遣の自由化
2002年 健康保険において本人3割負担導入 、弁護士業の自由化
2003年 郵政事業庁廃止、日本郵政公社成立 、商法改正
2004年 ロースクールの設置と司法試験制度変更
2005年独占禁止法改正、日本道路公団解散、郵政分割民営化、新会社法成立 、保険業法改正、
2007年 新会社法の中の三角合併制度が施行
*全国各地の商店街がシャッター商店街になったのは、大店法が廃止されたからだし、労働者の権利が剥奪されたのは人材派遣法が「規制緩和」の美名の下に「無法化」されたからである。