全国の原発で福島第一原発と同様の事故が起きたら、放射性物質はどう拡散するのか・・・シミュレーションを国が初めて公表しました。
これまで、原子力災害の対策をとるべき範囲としては「原発から30キロ圏内」というのがひとつの目安とされてきました。ところが今回公表された予測では、これを超える地点でも高い放射線量に達する可能性があることがわかりました。
例えば、柏崎刈羽原発から40キロ離れた新潟県魚沼市にも届くという予測です。日本有数の米どころとして名高い新潟県魚沼市では、今回出された新たな想定に戸惑いの声も上がっています。・・・続く
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5164560.html
TBSニュース2012年10月24日
半径40キロとなると、柏崎原発破綻で米どころ魚沼市、若狭湾の原発破綻で京都も避難地域にひっかかり、島根原発破綻で島根県の県庁所在地松枝氏も避難地域となるということで、その地元の声を拾っているニュース。
だが、福島第一原発の事故のことを思うと、規制庁の考え自体がでたらめなのだ。二点挙げておこう。第一点は放射能汚染の範囲は放射能雲の流れによるものであって、半径何キロではまったくわからないのに、あいかわらずスピーディのシミュレーションを隠したまま、半径40キロと言っている点。福島第一のばあい、原発のすぐちかくでも南の線量はうんと低かった。福島県中通、栃木県、群馬県の汚染のほうがひどいのだ。福島の米の放射能検査はするけれど、他県はしないのも行政のデタラメ。
第二点。福島第一原発と同規模の事故を想定しての避難地域ということなのだが、その想定が楽観的すぎる。福島第一原発の事故は、偶然の奇跡的要因(私は神のあわれみと信じているが)によって、あれでも最悪の事態は免れたのである。この記事を覚えているだろうか。
そのころ第1原発では1〜4号機が電源喪失で冷却機能を失った。最多の1535本(460トン)を
保管する4号機の使用済み核燃料プールは沸騰。溶融すれば最悪の場合、首都圏の3000万人が避難を強いられる事態が目前だった。だが空だき直前、4号機内で起きた水素爆発の衝撃で核燃料プール横の別なプールの水が偶然、核燃料プールに流れ込み危機を免れた。
(毎日新聞の2011年12月22日「記者の目」より)
奇跡的要因でたまたま最小限ですんだ今回の事故の被害を、つぎの事故の想定被害にするのが適切なわけがない。4号機プールが燃えていたら、首都圏3000万人避難ということなら、半径250キロくらいを政府は考えなければならないと思っていたわけである。「首都圏3000万人」という言い方が、いかにも東京中心の言い方だが、もちろんその場合、関東地方の一都六県だけでなく、岩手県南半分、宮城県、山形県、新潟県もぜんぶ避難範囲にはいる。
ところが、規制庁は信心深い人々で、次回も、きっと奇跡で守られると信じているのである。相変わらず彼らは「原子力安全神話」という迷信の信者たちなのだ。