苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

白鳳大地震

 日本紀を読んでいたら、天武天皇13年10月14日に大きな地震の記事があった。

「十四日、人定(夜十時頃)に大地震があった。国中の男も女も叫び合い逃げ惑った。山は崩れ河はあふれた。諸国の郡の官舎や百姓の家屋・倉庫、社寺の破壊されたものは数知れず、人畜の被害は多大であった。伊予の道後温泉も、うずもれて湯が出なくなった。土佐国では田畑50万余万頃(約一千町歩)がうずまって海となった。古老は『このような地震は、かつて無かったことだ』といった。この夕、鼓のなるような音が、東方で聞こえた。『伊豆島の西と北の二面がひとりでに三百丈あまり広がり、もう一つの島になった。鼓の音のように聞こえたのは、神がこの島をお造りになる響きだったのだ』という人があった。」

壬辰逮于人定大地震挙国男女叺唱不知東西則山崩河涌諸国郡官舍及百姓倉屋寺塔神社破壌之類不可勝数由是人民及六畜多死傷之時伊予湯泉没而不出土左国田苑五十余万頃没為海古老曰若是地動未曾有也是夕有鳴声如鼓聞于東方有人曰伊豆嶋西北二面自然増益三百余丈更為一嶋則如鼓音者神造是嶋響也

 天武天皇の治世の後半の時期には地震が頻々と起きていた。日本紀には次のように記録されている。
天武白鳳8年10月11日、11月14日
9年9月23日
10年3月21日、6月5日、10月18日、11月2日
11年3月7日、7月17日、8月12日、8月17日
13年10月14日は超巨大地震
14年12月10日
改元して朱鳥元年1月19日。
このうち本震が天武13年10月14日であり、これが西暦(グレゴリオ暦)684年11月29日の白鳳地震のことである。伊予(愛媛)道後温泉は湯が埋まって止まり、土佐では津波地盤沈下、そして伊豆島では地盤の隆起があったと記録されている。「伊豆島」と言われているのは、伊豆は当時は半島ではなく島だったからであろうか。それとも、伊豆大島のことか。後者らしいということだ。四国から伊豆までの地殻変動が同時に起こったのは、この地震が四国沖から静岡沖までにひろがる南海トラフが一気に動いた海溝型地震だからである。

こちら参照→http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20111119

産経新聞2012年4月1日の記事は下記のとおり。

南海トラフ巨大地震新想定 最大津波高知県34メートル

 東海・東南海・南海地震が起きる南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震について内閣府の検討会は31日、3つの地震が連動する最大級の津波と震度の新たな想定を公表した。津波を起こす地震の規模はマグニチュード(M)9・1となり、津波高は高知県で最大34メートルと推定。震度7の強い揺れの範囲も約20倍に拡大するなど従来の想定を大幅に上回った。停止中の中部電力浜岡原発静岡県)の津波高は想定を超える21メートルと予想され、新たな安全対策を迫られる。

 津波高は静岡県から紀伊半島、四国の太平洋岸で20メートル以上となり、高知県黒潮町で最大の34・4メートルに達する。九州東部は約15メートルで、関東でも東京・新島で29・7メートル、神奈川県鎌倉市で9・2メートルと推定した。

 国の中央防災会議による2003年の想定と比べ、津波高が10メートル以上の自治体は9倍の90市町村、20メートル以上はゼロから6都県23市町村に増えた。

 東海地震の想定震源域に位置する浜岡原発津波高21メートルは東日本大震災後、経済産業省原子力安全・保安院が電力各社に指示した緊急安全対策の水準(15メートル)を上回る。同原発で建設中の防波壁(18メートル)も超えて敷地内に浸水する高さで、安全対策の見直しが不可欠になった。