苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

海流発電の問題点

 以前、海流発電ということを書いた。黒潮の流れる太平洋に設置することを目指しているので、黒潮発電とも呼ばれる。もし、その莫大なエネルギーを電気として利用すれば、日本中の必要がまかなえるという話である。しかも、太陽や風とちがって、海流は安定的に流れているから安定的なエネルギーの供給が可能だという。

http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120104/p1

 しかし、海流の運動エネルギーを電気エネルギーに変換したばあい、当たり前のことであるが、そのぶん海流の運動エネルギーは減ってしまう。減った分、海流の流れが緩慢になり、その結果、さまざまな支障が思いがけない方面に出るであろう。小規模のスクリューで発電機を回している程度ならば、分からないのであるが、巨大な発電所という規模になれば、とんでもない結果を来たらせることになるだろう。たとえばすぐに想像されるのは、プランクトンや魚群の回遊が変化し、漁場が変わってしまうことだろう。また黒潮が現在もたらしている熱エネルギーが奪われるので、発電所の川下側にあたる北海道、オホーツク方面は寒くなるだろう。
 自然エネルギーというと、夢のクリーン・エネルギーというふうに考え勝ちなのだが、自然のなかにあるエネルギーを電気エネルギーに変換して利用すれば、その分、自然からエネルギーを奪うことになるのである。川をせき止めてダムを造れば、川下の生態系に影響を与える。それと同じことが、海流発電が大規模化すれば起こる。だから、どんな種類の自然エネルギーを利用しようとするにせよ、巨大発電所を造って、これだけで日本中OKというのはよろしくない。いろいろな方法で、遠慮しながら、バランスよく少しずつエネルギーを利用させていただくと言う心得が大事である。

<同日追記
 筆者は基本的には海流発電を積極的に推進してほしいと思う。放射能で人類を滅ぼす原発よりもよいに決まっている。しかし、自然エネルギーは無尽蔵だからどんどん使えばよいというのでなく、その規模によってどのような影響が生じるかをしっかりと計算して、これを利用するようにしていただきたいと思っている次第。それは、海流発電のみならず、風力であれ、なんであれ同じ。
 ただ以前に書いたように、従来、莫大にあるとわかっていたけれども採掘技術がなかったシェールガスが十年ほど前から使用できるようになったので、いわゆる自然エネルギーに転換することを、数百年はあせらなくてよくなっているというのが、エネルギーの世界の実情のようである。 ただし、シェールガス採掘にも、環境破壊がともなうということは指摘されている。 


☆「エネルギー危機は存在しない」
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120420/p1