苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

9 アブラハムと改名


              (Slow lifeさんの自家製ハム)
 若いときにはアブラム(脂無)で、年をとったらアブラハム(脂ハム)って、なんだか、おなか周りのことのようです。今日はまずその話。いや、その話ではありません。神の約束の成就の話。


 アブラムが九十九歳のとき、主は久しぶりにアブラムに啓示をお与えになった。神の啓示は曖昧な幻ではなく、明確なことばであった。
「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたをおびただしくふやそう。」
 ひれ伏したアブラムにさらに主はことばを告げられた。
「わたしは、この、わたしの契約をあなたと結ぶ。あなたは多くの国民の父となる。あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。・・・子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである。(後略)」
 神はアブラハムが多くの国民の父となると言われた。アブラハムから血統として出て今日まで名を残すのは民族は、イスラエル人とアラブ人とかぎられている。だが、血統ではなく信仰においてアブラハムは多くの人の父となる。アブラハムの子孫からイスラエル民族が出て、イスラエル民族のユダ部族ダビデの家系に、御子イエスが誕生することによって成就する。イエス・キリストの名はその後二千年間、世界のあらゆる民族・国語の人々に宣べ伝えられ、今日、世界中のクリスチャンたちはアブラハムを「信仰の父」と呼んでいる。
「そのようなわけで、世界の相続人となることは、信仰によるのです。それは、恵みによるためであり、こうして約束がすべての子孫に、すなわち、律法を持っている人々にだけでなく、アブラハムの信仰にならう人々にも保証されるためなのです。「わたしは、あなたをあらゆる国の人々の父とした」と書いてあるとおりに、アブラハムは私たちすべての者の父なのです。」(ローマ4:16)
 紀元前二千年にこの約束を聞いたアブラハムは、世界の片隅パレスチナの荒野に住む年老いた一族長にすぎなかった。しかし、約束をくださったお方は、世界の歴史を導かれる真の神であったから、その約束は実現した。真の神はよくできたフィクションではない。歴史を支配する生ける神である。