苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、放射能ニモ負ケズ

 「三月十一日以降、この日本の国は変わってしまったのです。」と京大原子炉実験所の小出裕章氏はしばしば言われる。あの日を境として私たちは食べる物、飲むものどころか、吸う空気までも放射能は大丈夫なのかと考えなければならなくなってしまった。福島からはるか遠い長野県でさえ、栃木、群馬を流れてきた放射能雲の影響で、軽井沢駅前で高線量が記録されているし、先日は佐久市群馬県との境界の森のなかで高濃度のセシウムに汚染されたキノコが見つかっている。十一月中には長野県全体の汚染図が公表されるそうだ。まして、福島県の人たちは、気の毒というほかない。・・・またTPP推進派は日本の高品質な農産物を外国に売り出すチャンス、などといい加減なことを言っている。世界のだれが放射能汚染の悪評高い日本の農産物を好き好んで買うものか。
 それはそうと、1986年4月26日、原発事故後十日間放射性物質が放出され続けた。チェルノブイリ原発の北方に位置するベラルーシはその国土の八割ほどが放射能汚染地帯となってしまった。ベラルーシでは原発事故以前、完全に健康な子どもは八五パーセントだったが、原発事故後五年たつと、二十パーセントに激減した。慢性疾病患者の子どもが十パーセントから二十パーセントに増え、すべての医療分野における患者も増え、先天性疾患の発生頻度は二・三倍になった。(『自分と子どもを放射能から守るには』p28参照) 
 ベラルーシでは、子どもたちに安定ヨウ素剤が配られなかったために、甲状腺がんが急激にふえた。日本でも同じで、数年後ある同じことが起こることは避けられまい。しかし、甲状腺癌というのは死亡率のきわめて低い癌(生存率の高い癌)なので、絶望する必要はない。ただ、このような状況になってしまった以上、日本に住む私たちとしては、放射能に負けないからだつくりを心がけることが必要だ。筆者のように五十歳をすぎてしまえば、細胞分裂をしていないので放射能の影響は少ないが、親は未成年の細胞分裂がさかんな育ち盛りの子どもたちのためには放射能に負けないからだつくりを心がけることが大事である。
 放射性物質が食べ物や呼吸によって体内に入ると、活性酸素が増える。活性酸素というとなんだか元気になりそうに思えるが、そうではなく、逆に、細胞や遺伝子を傷つけて老化や病気の原因となる、からだを酸化させるいわばサビのもとがこの活性酸素なのだそうである。活性酸素によって、DNAが切られて、それが修復しようとするときに、遺伝子情報に狂いが生じて癌細胞になってしまったり、細胞分裂する能力を失ったり、細胞が死んでしまったりする。
 もっとも、活性酸素を体内にふやしてしまうのは放射性物質だけでない。タバコ、大酒、過激なスポーツ、電磁波、そしてストレスからくる怒りや恨みという感情もなども体内に同じように活性酸素を増やすそうである。意外なのはスポーツ。ストレス発散に運動やいいけれど、やりすぎると活性酸素、というわけ。電磁波といえば携帯電話だから、あまりかけ過ぎないこと。
 ではどうすれば放射能に負けないか?
ひとつは活性酸素を消去する栄養成分つまり抗酸化物質を食べることである、ほとんどの植物に含まれるポリフェノール、緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイド類、ゴマのセサミン、大豆サポニン、ニンニクに含まれるアリシンといった名が挙がっている。それから、体内のセシウムを排泄するのにリンゴのペクチンがよいという。
 もうひとつは、穏やかで快活な心でいること。陽気な心でいれば活性酸素はふえないだけでなく、癌を殺すNK細胞がふえて免疫力も向上する。というわけで、放射能に負けないからだつくりには、しっかり野菜とリンゴを食べることと、イエス様を見上げていつも喜んでいることである。

「穏やかな心は、からだのいのち。
 激しい思いは骨をむしばむ。」箴言十四:三十

「陽気な心は健康を良くし、
 陰気な心は骨を枯らす。」箴言十七:二十二

「いつも主にあって喜びなさい。
もう一度言います。喜びなさい。」ピリピ四:四

『通信小海」217号(2011年11月号)