「ねえ、いっしょに行ってくれる?」と妻が夕食後、私を誘う。
「うん。いいよ。」と私。
外に出ると、ひんやりと寒い。
妻は手袋。
車を出して少し重い荷を載せて、
「今夜も星が降るようだ〜♪」と口ずさんで夜空を見上げると
なんだ、今夜は星が出ていない。
妻は「犬がほえるから歌っちゃだめ。」と言う。
二人で、静かな夜道を歩く。
家々のあかりがそれぞれの家庭の営みを思わせる。
夜空の向こうに黒々とした山の稜線が透けて見える。
少し凝った造りの小さな家、あの家の角を左に曲がれば、もう目的地。
車を静かに停める。
荷を降ろそうとする私を制して、
「汚れるから私が」と、
ゴム手袋をした妻は、一輪車からゴミを降ろして、
カラス防止の金網のはこに移す。
これが私と妻のゴミ・デート。