苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

原発と裁判官

 経済産業省官僚や原発推進大学教授たちが、天下り先として原発関連企業を用意していることは羞恥いや周知の事実であるが、なんと原発の危険性をめぐっての訴訟で、電力会社側に勝訴させ原発推進のお墨付きを与えた最高裁判事までも、原発企業に天下っていたそうである。こちらは周知ではなく、羞恥の事実である。
 四国電力伊方1号炉訴訟では、原告住民は四国電力(株)伊方発電所1号炉の原子炉設置許可処分(昭和47年11月)の取消しを求めて行政訴訟を起こした(昭和48年8月提訴)。松山地方裁判所における第一審判決(昭和53年4月)は請求棄却、高松高等裁判所における控訴審判決(昭和59年12月)は控訴棄却、最高裁判所においても、上告棄却の判決(平成4年10月)により国側勝訴が確定した。このときの最高裁判事の一人、味村治氏(みむら・おさむ)は、定年退官後、原発トップメーカー東芝役員として天下った。
 以前、大銀行を相手取った訴訟では、原告側は勝ち目がない、その理由は大銀行顧問弁護士は裁判官の定年後の天下り先だからであるというのが裁判の常識なんだと知って、筆者は愕然としたのだが、原発訴訟においても同じ事情だということか。
 原発の甘い利権にむらがる蟻たちのリストとして、政治家・官僚・業界(電力会社・原発メーカー・ゼネコン)・御用学者・御用評論家・マスコミ・地元推進派・反対派を封じ込めるヤクザというリストを以前見たことがあるが、この原発村住民名簿に裁判官までも入れなければならないとは・・・世も末じゃ。

<参照>http://www.mynewsjapan.com/reports/1437#estimate
  



  (ツユクサ

 情けないことだが、裁判官もまた官僚であり罪人だから、自分の出世が頭にちらついて、行政の方針に対してNOを出しにくい。だが、日本の司法史上、ただ一人だけ原発について良心的な判決を出した裁判官がいた。井戸謙一氏である。すばらしいことではあるが、まともな裁判官がただ一人しかいないとは、この国は大丈夫なのか。大丈夫じゃないから、今回の事故も起きたわけである。
〜〜以下引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
TBSニュース(2011年4月27日23:15)
 巨大地震が起こったら原発は大丈夫か?安全性については、これまで何度も法廷で争われてきました。全国8か所の原発で、住民が運転差し止めの訴えを出して争いましたが、訴えは相次いで退けられています。そんな中、たった一度だけ住民の訴えが認められ、原発の運転をしてはならないという判決が出たことがあります。当時の裁判長が重い口を開きました。

 「原発事故は取り返しがつかない。原発事故を起こさないための司法の責任」

 元金沢地裁裁判長・井戸謙一氏。32年間、裁判官を努めてきた彼は、かつて民事裁判の歴史で極めて異例とされる判決を出しました。それが・・・

 「原発を運転してはならない」

 石川県にある志賀原発の2号機について、「電力会社の想定を超えた地震によって原発事故が起こり、住民が被ばくする可能性がある」として運転差し止めを命じたのです。原発の差し止めを求める住民訴訟はこれまで各地で起きていますが、訴えが認められた例はありません。

 「これが金沢で言い渡した判決。裁判官人生の中で一番記憶に残る事件」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

 井戸元裁判長が初めてテレビの取材に応じました。

Q.判決を出すまでに一番大事にした軸は?
 「生命、身体、生活環境に大変な影響、万が一原発事故が起こると。一方で電気の供給など公共的な面もある。そのバランスの中で、どこまで司法が関われるか、慎重に考えたいと思った」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

 このとき、井戸氏が書いた判決文にはこんなくだりがあります。

 「可能性として、外部電源の喪失。非常用電源の喪失。さまざまな故障が同時に。多重防護が有効に機能するとは考えられない」

 福島第一原発の事故を予言するかのような文字が並びます。

(判決のシナリオがそのとおりになった・・・)
 「判決をした原発とは違うが、危惧したものが現実になるというのは大変なショックでした。(福島第一原発の)事故が想定外なのかというと決してそうではないと思うし、そんなに軽々しく想定外という言葉を使うものではないと思う」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

 原発事故を想定しえた判決。判決は、地震で事故が起こった場合、その被害は取り返しがつかないという住民の訴えに重きを置いたものです。

 「人間の知恵なんて知れている。地球のこと、地震についてどれだけのことが分かっているか、そこには謙虚にならないといけない。事故に備える、地震に備えるという姿勢がやはり電力会社に必要なのでは」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

 原発の差し止め訴訟は全国8か所で行われてきましたが、「原発地震対策は妥当である」などとして、住民の訴えが認められることはありませんでした。志賀原発についても、控訴審で「国の耐震指針に適合していて問題はない」などとして、住民側が逆転敗訴しました。

 志賀原発は一審判決の後、1200か所にわたる耐震の改善工事を実施。安全性を高めてきました。ですが・・・発生したレベル7の事故。志賀原発を抱える地元にも動揺が広がりました。

 「この近くで何かあったとき、子供たちがどうなるだろう、そういう思いは強い」

 志賀原発から10キロの場所に住む友禅作家の志田弘子さん。原発の差し止めを求めた原告の一人です。福島の事故以降、町の空気が変わったといいます。

 「みんなが信じようとしていたものに、なんか裏切られたような。みんなが不安を持っている声がいっぱい聞こえるようになった」(志賀原発の近くに住む 志田弘子さん)

 志賀町で先週行われた町議会選挙では原発訴訟のリーダーがトップ当選。収まらない不安が裏付けられた形です。一方で北陸電力は、事故を想定した訓練を行ったり、大津波を防ぐ防潮堤の建設など、安全強化策を発表。「さらなる安全性に万全を期し、わかりやすく丁寧に説明していきたい」とコメントしています。

Q.裁判所自体も、ある種安全神話に乗っかっていた点はある?
 「結果として、司法はほとんどが今までの原子力行政、あるいは電力会社の仕事を追認してきたわけで、そこでいろいろな警告を発していれば、こういう事態はなかったかもしれない。最後の砦であるという自覚をより深刻に持って仕事することが、これからの裁判官に求められるのではないか」(原発の差し止め判決を出した 井戸謙一元裁判長)

〜〜〜〜〜〜引用以上〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜