苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

福島原発 今後の見通し 

 小出裕章氏が今後の見通しについて述べていらしたので、ここにメモしておく。もちろん文責は筆者にある。

1.楽観的なシナリオ
 現状としては、まず福島原発を冷やすことが最優先である。ただし、ジャージャーと放水する現状のままではだめ。なぜならば、かけた水が高濃度の汚染水となって、原子炉建屋・トレンチなどに出てくることになり、その処理ができないから。汚染水を海に流してはならない。
 そこで、なんとしても緊急に取り組むべきことは、炉を冷却後、熱くなった汚染水を熱交換器で冷やして、熱だけを海に逃がし、その冷ました汚染水をまた炉を冷やすためにもどして・・・というループを回復しなければならない。(筆者:実際、このことを東電は進めようとして、昨日フランスのナントかという会社と契約発表した。)
 ただし、原子炉と格納容器が破損している現状では、この循環装置を回復する工事には、それに携わる作業員が大量に被曝することになる。この作業員にも妻もあれば、子どももいる生身の人たちである。(・・・こんなとんでもないプランをすら楽観的シナリオといわねばならぬことが、いたたまれない。)
 この循環装置を回復するのに何ヶ月かかかり、その後、何十年もかけて冷温停止の状態までもっていくことに成功してはじめて、解体とか石棺詰めなどの措置が可能になる。


2.もっとも悲観的なシナリオ
 東電の発表では、1号機の炉心のペレットを入れてあるジルコニウムの直径4センチ、長さ4メートルの竿の7割が破損してしまっている。2号機も3号機も似たような状態。この竿の中にウランを焼きしめたペレットと呼ばれる小指の先ほどの小さな瀬戸物がたくさん入っているが、ペレットは瀬戸物なので簡単には溶けないが、漏れでた放射性物質から見て一部は溶けている。
 今後、(その起る可能性は低いが)最悪のシナリオは、何らかの理由で炉の冷却に失敗した結果、このウランのペレットがまとまって溶けて、炉の底にある水に落下し、水蒸気爆発を起こすことである。すると、炉(圧力容器)も、炉の格納容器も破壊して、今までとは桁違いの大量の放射性物質が原子炉の外に噴出することになる。その場合には、関東一円、仙台方面も人が住めなくなる。
 防災という観点から言えば、最悪のシナリオを描いておいて、その万一に備えておき、そのようにならなければ、よかったね、と言えるようにしておくことがたいせつである。

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レンギョウ

筆者:日立は廃炉まで30年かかると東電に通知したという。チェルノブイリを経験したロシアは100年かかるといい、イギリスの科学誌も100年という数字をあげている。その間、かかるコストは莫大なものになる。それは単に施設維持費ではなく、地域住民の生活、福島県、いなメイドインジャパンの市場価値の下落をもふくんでいる。周囲の町村の人々のふるさとへの帰還はどうなるのか。東電の広告塔の御用学者たちは「原発は安上がりな電力だ」と言っていたけれど、その発言の責任をどのように取るつもりか。
  原発の危険な現場作業に当たってくださっている方たちにも、父母もいれば妻子や恋人もいよう。作業員400人のうち350人は退避して、現在50名が残っているというが、その方たちの身分・雇用条件などについて東電は固く口を閉ざしている。プライバシーにかかわるというのが名目であろうが。事故が起るたび、そのほとんどの場合は東電社員でなく、下請けの人々だということがわかる。彼らが今後の循環冷却装置回復のためには、きわめて危険な作業をすることになる。国は何の補償もしないのか。
 だが、これは特別な事故のときだけでなく、この世に原発が存在するかぎり保守点検作業のために必要とされている人々である。このような立場の人々がいなければ、原発が成り立たないことを知りながら、「やっぱり原発は東京と日本の便利のために必要だ」という選択をしている私たち日本人が地上に存在し続けることを、神様はいつまでお許しくださるのだろうか。
 福島原発が収まる前に、すみやかに手を打たなければ、東海地震震源の真上にある浜岡原発が破綻しているだろう。東海地震は24年以内に90%以上の確率で来る。

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