苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

顔で決めるな その2

 小学生だった私にとって、妖怪人間ベムの登場は価値観の転換の機会だった。それまでヒーローというのは、男前でかっこいいか、かわいいものと決まっていたからである。スーパーマンしかり、エイトマンしかり、スーパージェッターしかり、遊星仮面しかりというふうに。ところが、妖怪人間ベム、ベラ、ベロは見たところむくつけき怪物だった。ところが、その醜いからだの中には正義の血が隠されていたのである。衝撃だった。
 妖怪人間ベムを見るとき、きれいな顔をした人間たちの心根が、しばしば薄っぺらで、偏見にこりかたまり、欲によって腐りきっているのだということを思い知らされた。妖怪人間は、「早く人間になりたい」という願望をいだき、それを達成するために、さまざまの人間の敵といのちをかけて戦うのだが、助けてもらった人間は彼らに感謝をするどころか、かえって、気持ち悪いといって排斥し、挙句の果て、たしか最終回ではベム、ベラ、ベロは焼き殺されてしまった。
 今にして思えば、非常に高度な内容の漫画だった。