苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

『火は早く消さないと』朗読のあとで

昨日、佐久広域特別養護老人ホームを訪問しました。トルストイの『火は早く消さないと』という絵本を朗読してもらったあと、短いおすすめをしました。この絵本のアウトラインは
ここにあります。→http://bible-sca.blog.eonet.jp/bible_sca/2008/09/2008921-14a7.html
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 『火は早く消さないと』はいかがでしたか?いったい、何が問題だったんでしょう?いったい何がこの村中を巻き込んだ大火事の原因だったのでしょう? 最初はほんとうに小さなことでした。隣家のにわとりの玉子をめぐっての争いでした。しかし、最後は、村中が大火事になってしまいました。
 あのおばさんは、隣の奥さんを「あんたは泥棒だ」と決め付けるようなことばを言ってしまいました。そして、一つのことばの火は両家全員に燃え広がり、結局は文字どおり村全体を焼き尽くす大火事になってしまいました。マッチ一本火事の元。
「舌は小さな器官ですが、大きなことを言って誇るのです。ごらんなさい。あのように小さな火があのような大きい森を燃やします。」ヤコブ3:5
 考えてみると、確かにことばにはこんなに大きな力があるのですね。たとえば二つの国が戦争を始めるのも、宣戦布告のことばによりますし、二つの国が戦争をやめるのも、平和条約ということばによるのです。
 でも、私たちはこの大切なことばというものを、どれほど大切にしているでしょうか。反省させられます。

 では、ことばを大事にあつかうというのは、具体的にはどうすればよいでしょうか。みなさんが、ここで一緒に暮らしていらっしゃる中できっとお役にたつ、三つのことばについてお話したいと思います。
 まずあいさつです。朝起きておたがい顔を見たら、黙っていないで、「おはようございます」。これだけで一日がとっても楽しくなるものです。和むものです。
 次に、「ありがとう。」ということばをいつでも言えるようにしましょう。何かをしてもらったら、あったりまえだというふうに思うのはごうまんです。「ありがとう」というひとことで、お世話してくださる方はどんなに慰められ励まされるでしょう。
 三つ目、これは今日の絵本にもあったように、一番むずかしいことばかもしれませんが、とっても大事な「ごめんなさい」ということばです。もしあの時、あの隣家の奥さんが「あんたを泥棒呼ばわりしてごめんなさい」と言えたら、それですんだ話です。そして、「ごめんなさい」と言われたら、こちらの奥さんも「いいですよ。こちらこそ一声かけてから、拾えばよかったですね。ごめんなさい。」と言えばよかったのです。
 イワンのお父さんが死ぬ間際に言ったことば、「人の罪を一つかばってやるならば、神様がおまえの罪をふたつ赦してくださる。」これが、トルストイがこの本のなかでいちばん言いたかったことでしょう。私たちは正しく生きようとしても、罪や間違いを犯しやすいものです。ですから、ともに生きていくためには、「ごめんなさい」ということと、「いいですよ」と赦すことがぜったい必要です。
 終りの日、私たちは一人残らず聖なるお方の前に出なければなりません。赦さない人は、赦していただくことはできません。でも多く赦した人は、多く赦していただけます。あわれみは裁きの日に勝ち誇るのです。神様は、あやまちやすい私たちをゆるすために、天から人となってきてくださって、十字架の上でわたしたちの罪を背負ってくださいました。ありがたいことです。この主イエスの十字架の出来事をかみしめるとき、私たちにも人を赦すことができるようになります。