思いつくまま、メモしておく。
<民主的共和制>
第一に、王を殺した共和政革命直後は、伝統的価値の象徴である王を殺したという急性アノミー(無法状態)に陥ることが多い。
第二に、大統領はそのときどきに国民が選挙で立てるものなので、個々の大統領の資質と流行だけにその権威の根拠があって不安定である。
第三に、大統領が選挙で対立候補に対して、たとえば51パーセント対49パーセントで勝利を得たとすると、大統領は49パーセントの不支持層をも抱え込んで統合を図らねばならない。
第四に、大統領が実務者と統合象徴をかねている場合、権力が集中しているので、ダイナミックな政治の刷新が可能である反面、権限集中と人気取り政治によって独裁化する危険性がある。
第五に、国民は自ら選んだ者が大統領となるので、政治への主体的参加意識を持ちやすい。
まとめれば、民主的共和制のメリットは、合理性・ダイナミズム・国民の参加意識であり、ディメリットは体制としての不安定さである。
<民主的立憲君主制>
第一に、王の権威は伝統という価値に根ざしているので、個々の王の資質だけで体制は左右されず安定感がある。
第二に、王制は伝統の継続性に価値があるので、いったん断絶・混乱した場合、王制の権威の回復は困難である。
第三に、首相が実務を担当し、王の機能を統合象徴のみに制限した場合、権力が分散することによってバランスが取れる。
第四に、王制の伝統は宗教性・神話性を帯びているので、伝統的政治勢力が王をかついで政教分離原則を脅かす危険性がある。
第五に、王制は伝統という合理主義だけでは割り切れない価値によって支えられているので、かえって安定的ではあるが、国民はつきつめてものを考えず、安定した社会においてボケーッとし、保守的で因習に従う生き方になる傾向がある。
第六に、王制の伝統を維持するために王室に属する人々の人権が厳しく制限され、いわば奴隷状態に置かれているという問題がある。
まとめれば、民主的立憲君主制のメリットは安定性であり、ディメリットは非合理な伝統的勢力が政教分離原則を侵す可能性があることと国民の政治参加意識の低さ、王族の人権侵害である。