苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

増永俊雄先生の手紙

 恩師増永俊雄先生と出会ったのが1977年の晩夏。そして、私が教会に通い始めたのが翌年1月だった。増永先生は求道者の私に、岡田稔『カルヴィニズム概論』という本を貸してくださった。私は受験勉強の合間にこれを読んでノートを取った。「この本は絶版なのでプレゼントできないのが残念です」とおっしゃったので、ノートを取りながら読んだわけである。それはかえって有益だった。
 それにしても教会に来はじめたばかりの人にこんな本を貸すというのは、珍しい牧師だろう。私が理屈っぽい求道者だったからなのだろうが。まもなく私は進学のために筑波に転じたが、その後、先生は手紙によって私に信仰生活と神学のてほどきをしてくださった。当時、先生は体調を崩しておられて教会における働きから退いていらしたので、週に三通は届く私からの長い手紙に対して、ていねいに返信をしてくださる時間がおありだったのである。
 後日、増永先生とお話したおり、「あのころ、ぼくは病気で教会の働きができず、心苦しかったのですが、君と出会い、手紙による働きをすることによって、自分も励まされ、いやされたのです。」とおっしゃった。
 思えば、私にとっては、大変貴重なそしてぜいたくな一年余りにおよぶ文通だった。増永俊雄牧師は正確・明快に福音を説くすぐれた説教者であられると同時に、すぐれた神学者でいらしたからである。先生からの手紙は、今も綴じて私の書棚に立てられている。その増永先生も、すでに天に帰ってしまわれた。

 増永俊雄先生のローマ書講解説教集『こんなにすばらしい救い』(日本キリスト改革長老東須磨教会発行)は、多くの人にぜひ読まれるべき本である。