神学
このところ、聖書のいう救い、神の計画を理解するために「相続者」ということがもっとも重要な包括的概念であることが鮮明に見えてきました。キリストは世界の相続者であり、神がキリストのうちに聖徒たちを選び、召し、義とし、子とし、聖とするのは、共同…
昨年、ローマ書の連続説教をしたり、サンダースやライトの著書にふれたり、契約神学を勉強しなおしたりしているうちに、ある日、ローマ書がいう救いの二側面が見えてきました。 それは、1章から5章11節までは、キリストによる代理の刑罰を根拠とした法的な意…
学生時代ーもう四十年も前ーに読んだ、三木清『人生論ノート』に「怒について」という文章がある。その冒頭を下に引用してみる。 Ira Dei(神の怒)、――キリスト教の文獻を見るたびにつねに考へさせられるのはこれである。なんといふ恐しい思想であらう。ま…
神学用語において、贖い、償い、宥めがごちゃごちゃになってしまっている。英語のatonementが混乱しているのが、そのまま日本語に持ち込まれた観がある。贖いとは「買い取る」ことを意味しており、償いは「弁償する」ことを意味している。宥めは、怒りをおさ…
聖書学の流行に敏感な人々の中に、最新の学説が最良の学説というふうに思い込んでいるらしき人々を見かける。もし、物事全てが「進化」しているのであるとすれば、学説においても最新の学説が最良の学説ということになる。しかし、これは神学に関しては間違…
家内が誕生日に贈ってくれた牧田吉和『改革派教義学7 終末論』を読み終えた。改革派組織神学的な思考のあり方というもののお手本のような論述だった。という意味は、一つには聖書の行くとことまでは徹底的に思いめぐらして行き、聖書が立ち止まる所で立ち止…
遠くにいる息子が、昨日の晩に、北海道に来るというのを楽しみにしていたのに、帰って来られなくなって、がっかり。 それで遊ぶのをやめて、今朝から、『新・神を愛するための神学講座』のキリスト論の項をおおよそ書き上げました。組織神学というのは、結局…
『失われた歴史からー創造からバベルまで』がAmazonで手に入るようになりました。
拙著『失われた歴史からー創造からバベルまで』が出来上がって、今さっき届きました。新書版217ページ。きれいな装丁にしてくださいました。価格は1100円 中身は、創世記1章から11章の話題を取り上げつつ、聖書全体に啓示された神様のご計画を説いたものです…
以前にもこのブログに紹介したO.P.ロバートソン『契約があらわすキリスト』が出版され、手に入るようになりました。神様が、ご自分の恵みとまことにかけてご自分の民に対して結んでくださった契約を軸として、創世記からヨハネ黙示録までの流れを鳥瞰する本…
近年、「日本の」福音派の中でN.T.ライトのブームとなり、本が次々に訳されている。しかし、弊害もあるようで、ある友人に聞いたのだが、ライトの読者である若い伝道者の内には、「ライトを読んで『イエス様の十字架はあなたの罪にためでした。』と語れなく…
このところ、N.T.ライトの本が何冊も翻訳出版されています。なるほどという点と、おかしいんじゃないのという点の両方がまじりあっているので、私なりに整理しておきます。 まず、「福音とは『キリストは王である』という宣言である」というのは、たしかに福…
O・パーマー・ロバートソン著 『契約があらわすキリスト ―聖書契約論入門』 (清水武夫監修/郄尾直知訳) 「やっと出ますか!」本書の邦訳・出版の知らせを受けて、フェイスブックに思わず書いてしまいました。首を長くして待ちに待ってすでに三十数年です…
35年前の神学生時代、「創世記から黙示録まで一貫する神のご計画をどのように読み取ればよいのだろうか。その鳥観図を得てこそ、各巻・各部分の正しい位置づけと解釈ができるだろう。」という願いをもっているなかで、 The Christ of the Covenantsに出会い…
最近、気づいたことがあります。 創造の契約において、人は地の相続人としての任務を与えられました。 アブラハム契約は、相続の契約です。 キリストにあって、信仰によるアブラハムの子孫が世界のあらゆる民族になったので、「地」が世界に拡張されました。…
月曜からスタートした「神を愛するための神学講座」は、序論、啓示論に始まり、金曜夜9時半に終末論で終わりました。楽しく充実した一週間でした。しかし、さすがに、くたびれました。毎日11時間くらい勉強しましたからね。
苫小牧の教会の水曜日の聖書研究祈り会で順々に読んできたものです。 創造からノアの大洪水で歴史の一回目は終わり、再出発したということで、創世記1章から12章には神と神の救いの計画の全体が圧縮されているという観点から、読んでみました。学問的なもの…
ハレルヤ、感謝します。苫小牧、今朝は青空が見えています。気温18.4度です。 「新・神を愛するための神学講座」の第2回「啓示について」を載せていただいた『舟の右側』7月号が届きました。 アウトラインは次の通り1.啓示は必要不可欠 2.被造物啓…
「舟の右側」6月号から、「新・神を愛するための神学講座」の連載が始まります。前の「神を愛するための神学講座」は絶版になって20年ほどたちます。その後、教えられて来てみなさんにぜひお伝えしたいことがあり、また、そろそろ向こうからお呼びがかかるよ…
ここ2,3日頭の中にあること。 創世記3章には「原福音」と呼ばれる二つのメシヤ預言がある。一つは、蛇に対する呪いの中で、「女の子孫」が蛇の頭を踏み砕くというものであり(3:15)、もう一つは、神がアダムと妻に獣の血を流して彼らの恥をおおう皮衣を作…
N.T.ライトについてかつてメモしたことを眺めて、会堂からの帰り道、思いめぐらしていたら、彼の体系が見えてきた。やはり、罪観は神学体系のアルキメデス点です。 ライトにとって罪観は、神の前の人間の罪責でなく、悪魔の力。ゆえに、ライトの贖罪論は、キ…
2テモテ3:14−17、ローマ1:16,17、3:19−24 恩寵のみ・信仰のみ・聖書のみ 2017年9月23日 JECA北海道聖会 第1回メッセージ はじめに ご紹介にあずかりました、日本同盟キリスト教団苫小牧福音教会牧師水草修治と申します。このたびは、この宗教改革5…
2列王22章 ただ神にのみ栄光を(Soli Deo Gloria) 2017年9月 JECA北海道 第2回目メッセージ 宗教改革のスローガンといえば、まずは、ドイツの宗教改革では、「Sola Scriptura、聖書のみ」「Sola Gratia恵みのみ」「Sola Fide信仰のみ」です。スイスの宗教改…
以前、はてなダイアリーで「神を愛するための神学講座」というブログを半年くらい書いた後、私のミスで消滅しました。 HBI(北海道聖書学院)で話している内容を読んでみたいと言ってくださる方がいるので、昨日、こういうのをはじめました。 アメブロは初め…
今週月曜、火曜、北海道聖書学院では、遠藤勝信先生をお迎えして、NPPの特にN.T.ライトさんの説についての講演をしていただきました。 丁寧に慎重に紳士的になさった遠藤先生の講義の前半を、大雑把すぎる方法で超簡潔にまとめてメモしておきます。(まとめ…
アウグスティヌスは、若い日から悪の問題に悩んでいた。特に、彼自身、抑えがたい性的欲求に翻弄されていたからである。そういう彼はマニ教という精神を善とし肉体を悪とする二元論の合理的宗教にはまり込んでしまう。彼は詳細を語っていないので、想像する…
今日はHBIでキリストが真の神であられつつ、真の人性をまとわれたことをまなびました。 その結論だけ、紹介します。(1)二性一人格ゆえに贖罪が可能だった キリストは、人であるゆえに人の罪を担うことができ、キリストが神であるゆえに贖罪の能力を持って…
「十字架のことばは、滅びに至る人々には愚かであっても、救いを受ける私たちには、神の力です。」(1コリント1章18節) キリストの十字架の死は、私たちが神の御前に犯した罪に対する罰を身代わりに背負うためであった。しかし、人間はこの聖書の明白な教え…
「神は罪を知らない方を、私たちの代わりに罪とされました。それは、私たちが、この方にあって、神の義となるためです。」(2コリント5:21) 1.劇的贖罪説 キリストの十字架の死は、悪魔の奴隷になっている人間を解放するために、神が悪魔に対して支払っ…
神学には、罪のとらえ方を支点として、3つのタイプ体系が生じる。恩寵救済主義、自力主義、そして両者の中間の神人協力説である。これはA.A.ホッジがOutlines of Theologyで言っていたこと。1.恩寵救済主義。 人間の罪は自由意志までも罪しか選べない状態…