苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

アライグマ

 大学時代、私にサルトルパスカルのことを教えてくださったのは飯塚勝久先生という方です。そのころジャンセニスムの研究をされていて、後にその論文で博士号を取得されました。ジャンセニスムというのは、パスカルが影響を受けたポール・ロワイヤル修道院の指導思想です。ドイツのヤンセニウスという人物が、アウグスティヌスを研究し、その思想を復興させた思想なので、アウグスティヌス復興主義というふうに言われます。私はそのころから、パスカルを介して、ジャンセニスムアウグスティヌスと近づくことになったわけです。

 そのことは今日は横に置いといて、その飯塚先生がフランス留学時代の友人が、私が先生の研究室に毎週うかがっていた時代に、先生のおうちに訪ねてこられたことがありました。で、先生はそのご友人に関して面白いことをおっしゃいました。「いや****さんは、トイレで大きいのをして出てきても、全然手を洗わないんですよ。だから、家族は、戦々恐々として、あの手であそこをさわった、ここをさわったというふうに目で追うわけです。」と言って笑われました。その人だけではなく、フランス人というのは総じて日本人みたいにせっせと手を洗わないそうです。

 で、少し検索してみたら、日本人みたいにちょっと汚いものにさわったら手を洗う習慣の民族のほうがどうやら珍しいようです。かっこいいイタリア人から見たら、日本人はアライグマみたいに見えるのでしょう。でも、今回のような騒ぎの中では、手洗いの習慣が日本人にあることは、よいことのようです。

 飯塚先生に、昨年出した小さな本を送ろうと思います。

 イタリア人で、汚いものに触ったら、きまって手を洗うという人は33%に過ぎないという調査結果が出た(コリエレ・デッラ・セーラ、8月13日)。67%のイタリア人は、トイレに行ったり、くしゃみをしたり、咳をしたり、動物を触ったりした後で、または食事の前に、規則的に手を洗わないことが明らかになった。

同様の人は、ドイツ人では75%。アメリカ人では69%。この調査は Hygiene Council という機関が8000人を対象として実施したもので、そのうちイタリア人は1000人。

さらに、18歳以下では、トイレに行ったあと手を洗うと答えたものはわずか2%。大卒者では、なぜか手を洗う人が21%で、全体の33%よりも少なくなる。

イタリア人で、ばい菌が手から入ってくると考える人はわずか7%で、イギリス人は28%。実際は、汚い手から細菌が入ってくることが一番可能性として高いのである。(2006年8月20日

 出典  http://senese.cocolog-nifty.com/koukishin/2006/08/post_40ec.html

 

  そういえば、イエス様の弟子たちのある者たちは、食事の前に手を洗わなかったみたいですね。「口から入るものは人を汚さない」とおっしゃったイエス様は食前に手を洗ったのかなあ。

「彼らは、イエスの弟子のうちのある者たちが、汚れた手で、すなわち、洗っていない手でパンを食べているのを見た。」(マルコ7:2)