苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

原発発電はもっともハイコスト、自然エネルギー電力はもっともローコスト

 

世界的な投資顧問・資産管理会社のラザード(Lazard)による電源別の発電コストの推移についてのレポート。

2018年時点における毎時1キロワットあたりの単価の比較

原子力の発電コストは、上昇傾向にあり・・・・15・1セント
・石炭火力・・・・・・・・・・・・・・・・・・10・2セント

・ガス火力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5・8セント

一方、自然エネルギー電力は急速な低コスト化が進んでいる。

太陽光発電
   2010年時点・・・・・・・・・・・・・24・8セント
   2018年時点・・・・・・・・・・・・・・4・3セント
風力発電

   2010年時点・・・・・・・・・・・・・12・4セント

   2018年時点・・・・・・・・・・・・・・4・2セント

 

 つまり2018年時点では、原子力はすべての電源の中で最も高コストな発電方式になっており、自然エネルギー電源の4倍近くである。同様の結果は金融情報など世界の経済データを提供するブルームバーグ社のエネルギー部門、ブルームバーグNEFの調査でも示されている。2018年に公表された同社のレポートでは、「補助金なしの太陽光発電風力発電は今や石炭火力より安価になり、日本以外のすべての主要経済圏で最も安価な電源になっている」と指摘している。

岩波書店「世界」2019年7月号掲載、大野輝之論文より】

 

 いつまでもすでに終わった危険かつハイコストな重厚長大原発をベースロード電源にすると言っている日本政府・官僚・原発業界(電力会社・原発メーカーetc)の癒着を見ていると、かつての米国自動車業界の凋落を思い起こす。1970年代世界中で大気汚染が問題化して、排出ガス規制が厳しくなっている状況だったが、ビッグスリーと呼ばれた米国自動車産業は設備投資も技術開発も怠って、政府にロビイングをして、米国内の排出ガス規制を据え置きさせた。その結果、米国の自動車は諸外国にまったく輸出できなくなり、米国の自動車業界は凋落し、自動車の都デトロイトは廃墟となった。
 政府は自然エネルギーを進めようとする人々を電力会社が送電線を独占して妨害するのを放置してきた。そして、アベノミクスの第三の矢として、諸外国に原発を売り込もうと首相自身が業界の会長たちを引き連れて大名行列に外遊したが、みな挫折した。当たり前である。原発ほど危険かつハイコストで、将来性の乏しいロートルな発電方法はないからである。だが、日本のメディアは電力会社にコマーシャル枠を買ってもらっている義理でその事実を報道せずにいる。

 技術開発も設備投資も怠り、ただただケイマン諸島みたいなところに400兆円もためこむ無能な大企業経営者たち。そうした大企業経営者たちの言いなりになって、法人税を引き下げて、中小企業と庶民をますます貧困に陥れ、ますます景気が悪くなる政策をひたすら取り続ける政府与党。また、そういう大企業に天下り先として当てにしている高級官僚たち。政府の圧力と、大企業からのCM圧力を受けて、こういう危機的状況の事実を伝えようとしないマスメディア。・・・この国はどーなるのでしょうね。