苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

イナゴの冤罪


Swarm Of Locusts DEVOUR Everything In Their Path | Planet Earth | BBC Earth

 出エジプト記9章に出てくる大地の草と言う草、植物性繊維の服までもを食い尽くす昆虫は「いなご」と訳されていますが、実際にはイナゴが相変異して(羽が長くなって飛翔力が増し、色は赤っぽくなり、食欲が異常亢進)大量発生して害を及ぼすことはありません。こういう害を及ぼすのはトノサマバッタです。日本の北海道以外では、トノサマバッタの大量発生による害を知らなかったために、漢字の「蝗」の読み方をイナゴとしてしまったのが間違いの始まりのようです。日本で田んぼを荒らすイナゴをイメージしたのでしょうね。
 そのくらいのことは、翻訳委員会でもわかっていたように思うのですが、どうして「いなご」のままにしたのでしょう。翻訳の伝統でしょうか。動物や虫の名の表記については原則がなくてバラバラだと前にも書きましたね。これをトノサマバッタと訳すと、いなごに慣れてしまった人には、なんとなく間抜けな感じがしてしまうからかもしれません。でもイナゴにとっては、冤罪です。トノサマバッタに直してみます。
 「4**,もしあなたが、わたしの民を去らせることを拒むなら、見よ、わたしは明日、トノサマバッタをあなたの領土に送る。5**,トノサマバッタが地の面をおおい、地は見えなくなる。また、雹の害を免れてあなたがたに残されているものを食い尽くし、野に生えているあなたがたの木をみな食い尽くし、6**,あなたの家とすべての家臣の家、および全エジプトの家に満ちる。これは、あなたの先祖も、またその先祖も、彼らがこの土地にあった日から今日に至るまで、見たことがないものである。」出エジプト10
  あと、出エジプトの災いを下敷きとして、預言書ヨエルやアモス、黙示録10章にもトノサマバッタは登場します。ちなみに、私は子どもの頃、ショウリョウバッタよりもトノサマバッタのほうが好きでした。