苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

シベリアのマンモスと気候変動

 1月29日の記事として、シベリアの永久凍土が溶け出して、マンモスの遺体がたくさん発掘されているということを書きました。50万トンの牙が埋蔵されているだろうということです。しかも、マンモスの遺体はしばしば骨だけでなく、肉も、毛皮も冷凍保存されているとのことです。

 私がこの種のマンモス発掘の記事を初めて読んだのは、たぶん中学1年生のころですから、もう50年も前のことです。学研が発行していた子供用科学雑誌の中に特集されていたのです。シベリアでマンモスの遺体が出てきて、それを発掘に出かけたところ、狼たちが一部食べてしまっていたが、狼を追い払って大きなテントで被い、テントの中でストーブを焚いて作業開始した。ところが、マンモスの肉が腐敗してきて臭くてたまらなかったという記録でした。生物部に所属していた私はこういう記事をワクワクして読みました。

 その記事には、当時は情報が少なかったせいで、シベリアのマンモスたちについていくつかの誤解がありました。一つはマンモスはシベリアで暮らせるような寒帯仕様の哺乳類であるという誤解です。毛皮があるので、そういう誤解が生じたのでしょうが、実際には寒冷地に住む哺乳類にはかならずある皮脂腺というものがマンモスにないことがわかっているので、マンモスは寒帯仕様の動物ではありません。また、マンモスの口と胃袋から未消化の温帯の植物が発見されていることも同じことを示しています。

 シベリアのマンモスの絶滅についての誤解は、発見されるマンモスはたまたま崖に落ちて死んだのだというのです。マンモスの遺体が少数しか発見されなかった時代には、そういう説明も説得力があったのでしょうが、永久凍土が溶け出した今日、マンモスの牙が象牙に代わる産業として成立していることが示すように、埋蔵されたマンモスはまぬけな少数の個体ではなく、シベリアの平原で群れを成して草を食んでいた状態で瞬時に冷凍されてしまったというのが事実です。

 かつて温帯であったシベリア全体が瞬時に急速冷凍されて、以後、ずっと今日寒帯になってしまったというのが過去に起こった事実です。いったい何が起こったのでしょうか?火山の噴火と噴煙によって暗黒化と急速冷凍ということであれば、噴煙が去った後にはまた暖かくなるのですから、これでは説明になりません。可能性としては3つくらい考えられているようです。

①シベリヤも含めて地球全体が「温室」の中にあったが、何らかの原因で「温室」が壊れて全体が冷却されることになり、地域によって熱帯、亜熱帯、温帯、冷帯、寒帯という差が出来た。「何らかの原因」は隕石、小惑星の衝突という説明をする人がいます。

②温帯であった地域が地軸の移動(ポールシフト)によって瞬時に寒帯に移動した。ポールシフトについても調べればいろいろ怖いことが書かれています。

地球温暖化による海流の停止が急激な気候変動をもたらしたという説。海水は地球規模で、表層水と深層水が一本のベルトコンベアのように循環しています。このベルトコンベアの動力は、北極圏の氷の冷却力です。ところが北極圏の氷が溶けると、その水で海水が薄められ、比重が軽くなるため大西洋でいえばグリーンランド沖での海水の沈み込みが無くなって、ベルトコンベアが停止します。すると、メキシコ湾流が停止して北米・北欧から氷河期が始まります。太平洋なら黒潮がストップするわけです。これは映画「デイアフタートゥモロー」で紹介された説です。でも、この説を支持する専門家は少ないそうです。
 というわけで、原因は不明なのですが、とにかく過去にシベリアが暖かい地域であって、それがある日突然、寒冷化したということはじじつです。何があったのでしょうね?

 


ブロッカーのコンベアベル

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