苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

世の始まる前からの定め

しかし私たちは、成熟した人たちの間では知恵を語ります。この知恵は、この世の知恵でも、この世の過ぎ去って行く支配者たちの知恵でもありません。私たちは、奥義のうちにある、隠された神の知恵を語るのであって、その知恵は、神が私たちの栄光のために、世界の始まる前から定めておられたものです。
この知恵を、この世の支配者たちは、だれ一人知りませんでした。もし知っていたら、栄光の主を十字架につけはしなかったでしょう。しかし、このことは、「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、人の心に思い浮かんだことがないものを、神は、神を愛する者たちに備えてくださった」と書いてあるとおりでした。

1コリント2:6-9

 

 

 ここで「知恵」とは、1章30節がいうようにキリストを意味している。「キリストは、私たちにとって神からの知恵、すなわち、義と聖と贖いになられました。」とあるとおりである。そして、さらにさかのぼれば知恵とは1章18節「十字架のことば」を意味している。「十字架のことばは滅びる者たちには愚かであっても、救われる私たちには神の力です。」神の御子イエス・キリストが、十字架にかかって死んでよみがえられることによって、私たちに救い(義と聖と贖い)を提供されたというこの福音が、神の知恵である。

 神の御子が十字架にかかられることによって、私たちに救いをもたらすことは、世界の始まる前からのものであったという。だから、この計画を知るのは、神のみであって、我々よりもはるかに多くの知識を持つみ使いたちさえ知らず、したがって、堕落したみ使いであるサタンとその手下の霊たちも知らかなった。

 神の御子イエスが十字架にかかって私たちを罪から救い出すという知恵を知らなかった「この世の支配者たち」とは誰か。当面、ユダヤのサンヘドリンの議員たち、そしてピラトやヘロデたちを指している。だがそれだけでなく、「この世の支配者たち」は彼らの背後にいて、彼らを操ったサタンと悪しき霊たちを意味していると思われる。この世の支配者たち」という言い回しは、エペソ1:21や同2:2と関係、類似している。
 悪魔たちが、もしイエスを十字架にはりつけにすることが、神が罪人を救うための方法であると知っていたなら、彼らは権力者たちを動かし、イスカリオテ・ユダを動かしてイエスを十字架に磔にすることは決してなかっただろう。十字架のことばは、滅びる人々、その背後の滅びる霊たちにとっては愚かなのである。十字架のことばがわかったということは、神の恵みであることを改めて確認して、感謝したい。

 

 C.S.ルイスは『ライオンと魔女』の中に、「世の始まる前からの掟」とかいう表現で、このことを取り上げていた。