苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

『「氷点」解凍』

 先日、数名の主にある兄弟姉妹たちと話をしていて、三浦綾子さんの本が話題に上った。『塩狩峠』は高校三年生の夏に映画で見たのが最初で、その後、大学生になってから小説で読んだ。その後、『道ありき』『氷点』ほか、三浦さんの作品はほとんど読んでしまった。特に『道ありき』は何度も読み、何冊も買って、友人にあげてしまった。
 そんな話した方たちのうちの一人の姉妹が森下辰衛『「氷点」解凍』(小学館)という本をプレゼントしてくださった。著者は旭川にある三浦綾子文学館の特別研究員でいらっしゃる。綾子さんの生涯、敗戦から戦後の時代背景、綾子さんの小説作法などから、『氷点』を実に見事に解き明かしていて、興味津々の一冊である。一気に読んでしまった。
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E6%B0%B7%E7%82%B9%E3%80%8D%E8%A7%A3%E5%87%8D-%E6%A3%AE%E4%B8%8B-%E8%BE%B0%E8%A1%9B/dp/409388367X


 「中央の文壇」は三浦さんの作品を「護教文学」とレッテルを貼って無視しているけれど、傑作というものは文壇が選ぶのではなく、読者が選ぶものである。文壇が無視しても、三浦さんの作品は世代を超えて読み続けられていくだけの深い普遍的な内容を持っていると私は思う。また国内だけでなく、世界の人々にも読まれるべき普遍的な力があると思う。『塩狩峠』はすでに英訳が出ているが、『氷点』の英訳については聞かない。フィンランド訳はあるそうだ。もし、まだであれば『氷点』は英訳されるべき作品だと思う。

追記
 『氷点』はFreezing Pointという名で英訳されていた。だが、滅茶苦茶に高価。なぜだろう。