苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

キリスト者の使命・・・・筆者のスタンス

 聖書には、二つの大命令があります。一つは文化命令であり、もう一つは大伝道命令です。この二つの命令に従うことが、神がキリスト者に託してくださった使命(mission)です。

 文化命令とは、神様が人を造られたとき、おっしゃったことで、創世記の1章と2章に記されています。

「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」創世記1:28

「神である【主】は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、またそこを守らせた。」創世記2:15

 特に前者をとりあげて、聖書が環境破壊の元凶であるという主張がリン・ホワイト以来なされていますが、これは以前にも何度か書いたとおり誤解です。これらのみことばは確かに人間には神の代理として被造物を支配することが命じていますが、その意味するところは暴君的な支配ではなく、知恵と公正と愛に満ちた神のみこころにかなう支配です。
 文化命令は人間の文化形成の営み全般を射程に入れています。労働であれ、家庭形成であれ、学校教育であれ、政治であれ、科学技術であれ、芸術であれ、地域活動であれ、そこに行われるの文化形成を神のみこころに沿うようにしなさい、ということです。「みこころの天に成るごとく、地にもなさせたまえ」と祈りつつしなさい、ということです。こうした創造論に基づく「文化命令」という理解は、神学の伝統でいうと特に改革派神学のなかで大切にされてきました。これは一般恩恵にかかわるところの命令ということができます。


 他方、大伝道命令とはなにか?こちらは特別恩恵にかかわる命令です。従来、多くの人は大宣教命令と言ってきましたが、宣教は使命とも訳されるmissionの訳語でもあって混乱するので、むしろ大伝道命令としたいと思います。大伝道命令とは、復活された主イエスが弟子たちにお命じになったことばです。これは福音書末尾と使徒の働きの最初に記されています。

「わたしには天においても、地においても、いっさいの権威が与えられています。それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい。見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」マタイ28:18−20

>>「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい。」マルコ16:15