苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ローズンゲン 9月25日  悪を憎め

詩篇97篇10節
ヱホバを愛しむものよ惡をにくめ
ヱホバはその聖徒のたましひをまもり
之をあしきものの手より助けいだしたまふ


口語訳
主は悪を憎む者を愛し、
その聖徒のいのちを守り、
これを悪しき者の手から助け出される。


新改訳
【主】を愛する者たちよ。悪を憎め。
主は聖徒たちのいのちを守り、
悪者どもの手から、彼らを救い出される。


新共同訳
主の慈しみに生きる人の魂を主は守り、
神に逆らう者の手から助け出してくださる。
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 翻訳の異同が大きい。文語訳と新改訳は、「主を愛する者たちよ、悪を憎め」。口語訳は愛するの主語は主であって「主は悪を憎む者を愛し」であり、新共同訳は「主の慈しみに生きる人の魂を主は守り」であって、まったく内容が異なっている。
 英訳聖書は、どれもこれも文語訳と新改訳に近い。
NIVはLet those who love the LORD hate evil
ESVはO you who love the LORD, hate evil!
NASBはHate evil, you who love the LORD,
King James BibleはYe that love the LORD, hate evil
International Standard VersionはHate evil, you who love the LORD!
New American Standard 1977はHate evil, you who love the LORD,
King James 2000 BibleはYou that love the LORD, hate evil
American King James VersionはYou that love the LORD, hate evil
American Standard VersionはO ye that love Jehovah, hate evil
 ヘブル語本文ではqal・命令・男性・複数と取るのが普通のようだから、文語・新改訳や多くの英訳が普通の訳と言えよう。新共同訳は非常に独特で、なんでこうなるのか不明。訳者のなんらかの思想的背景のせいだろうか。
 主イエスのご生涯と言動を思い浮かべると、病める人・幼子に対して、いつくしみに満ちていたけれども、とくに律法学者・パリサイ派の偽善を暴く舌鋒は非常に激しかった。宮きよめのときも、怒りに燃えておられた。
 むろん、人間の怒りは神のみこころにかなわぬことがとても多いことをわきまえる謙遜がが極めて重要だが、悪を憎むことはたいせつ。
 「愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。」