苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

Pマネー:小海町の地域通貨―自由市場経済に抗して


 小海町の地域通貨P−Moneyを買ってきました。1万円で1万1000円分買え、10万円で11万円分買える地域限定商品券です。小海町の経済振興策として数年前からスタートしました。私はこの夏、地元の自動車工場で車検をしてもらうつもりなんです。
 私たちの国では、小泉・竹中改革以来、現安倍内閣にいたるまで、新自由主義経済(市場原理主義)を金科玉条のように掲げて、これが国民生活と国土の破壊に猛威を振るってきました。それは単純にいえば、あらゆる経済活動からあらゆる規制を取り払えというのです。経済は弱肉強食原理で成長するという考え方です。プロレスラーと幼稚園生を同じリングでルールなして戦わせるのがフェアだというほど馬鹿げた考え方です。
 しかし、政府は、労働市場についていえば、大企業が安上がりで商売できるようにと、労働者の生活をまもる規制をつぎつぎに取り払ってきました。それによって、今日では非正規社員は全労働者の40パーセントに達し、非正規社員は正規社員の年収の36パーセント程度です。非正規社員は収入が少なく、昇給も望めず、いつ職を失うかわからない立場に置かれています。したがって、結婚もできず、消費行動も最低限という生活を強いられています。このように政府は口先で少子化を嘆きつつ、実は少子化を推進し、不景気を嘆きつつ景気悪化政策を推進してきましたし、現内閣まますます愚かにもこれを推進しています。TPPが実現すれば、ますますひどくなります。
 また、政府は大規模店舗出店規制法の撤廃を行いました。その結果、地方都市の郊外に巨大店舗が出現し、そこに客が集中して、日本全国の地方都市の中心にある商店街はシャッター商店街となりました。必然の結果です。弱肉強食経済政策を取れば、資本力に勝る店舗が小資本の店舗が食い殺すのは必然です。しかも、東京都に本店がある地方支店は、地元に納税せず東京に税金を落とすので、地方自治体はますますやせ細っています。そのくせ、口先だけ「地方が危機だ」とか言って「地方創生大臣」を任命したりしていますが、焼け石に水です。
 地方はしかし、それでも生き残らねばなりません。その一つの手段が地域通貨です。地域通貨は、その地域内の加盟店でのみ通用するもので、使用期限が定められています。たとえば小海のものは今年12月末がその期限です。したがって、これは地域における消費行動を促します。すると、地域のお店と家庭が潤い、地方自治体の税収もアップするというわけです。地域通貨は、シルビオ・ゲゼルという人が提唱したそうです。

こちら、参照。 http://www.wsk.or.jp/work/b/h14-b-01/02.html

追記
市場原理主義の根っこにある「弱肉強食」という理念は19世紀の帝国主義時代の理念であり、進化論が裏付けしたとされる理念でしょう。
 しかし、今、「共生の経済」ということをほんとに考えないと、人類も、地球も持たないと思います。