苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

原発事故と交通事故を並べて論じる愚

 原発事故と自動車事故を並べて論じ、再稼動すべきだと主張する「文化人」たちがいる。いわく、<自動車だって事故を起こすし、年間5000人も命を落としている。だが、それで自動車を廃絶しようということにはならない。利便性が危険性に勝るからだ。それなのに、他の発電方法に比べて効率にすぐれる原発は一度事故があったからといって、廃絶せよというのは不合理だ。しかも、福島第一原発事故で死者は出ていない。>と。


 反論

1.福島第一原発事故では、ふるさとを永久に奪われて移住させられた人々は15万人というとんでもない数である。そして、原発事故によって汚染された国土は半永久的に失われ、海は汚染され、何百年と培った文化も歴史も、原発事故で失われてしまうのである。


2.原発事故による直接の死者は数えられなくとも、原発事故関連死者は多い。福島第一原発周辺で地震で倒壊した家々のなかで救出を待っていた多数の人々は、放射能汚染ゆえ救助隊も立ち入り禁止となり、見殺しにされた。強制移住させられて、病死した老人たちは多く、田畑を放射能汚染されて希望を失い自殺した農家の人々もいる。


3.原発の経済効率はもっとも悪い。立教大学教授大島堅一氏によれば1970年〜2007年の約40年間について、実際に発電にかかったコストを、財政支出の国民負担についても合算すれば、1キロワット時あたりのコストは、水力7.26円、火力9.90円、原子力10.68円。つまり、原発が一番高い。さらに、これに廃炉費用5000〜600億円も加えなければならない。事故の場合の保障を考えれば、何をかいわんやである。


4.国土を永久に汚染し、国民の健康を破壊する、危険で、しかも、経済効率の非常に悪い原発という発電方法を用いずとも発電する方法はいくらでもある。とりあえずは、石炭であれ天然ガスであれ高効率化され環境負担の少なくされたガスコンバインドサイクル発電でよい。下記参照。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120420/p1

代替エネルギーいろいろ
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/searchdiary?word=%2A%5B%C2%E5%C2%D8%A5%A8%A5%CD%A5%EB%A5%AE%A1%BC%5D


5.ただし、廃炉技術が確立していない現実がある。核廃棄物の処理ができず、トイレなきマンション状態。「どうせ廃炉にできないのだから、再稼動せよ」という推進派が頭が煮えている。そんなことをしたら、ますます核廃棄物だらけになってしまう。
 その意味での技術開発は続けられるように、国策で手当てする必要がある。下の映像は、核廃棄物借り置き場の現状。推進派の人たち、どーするの?