苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ローズンゲン1月29日   たとえ死の陰の谷を

詩篇23:4

たとい、死の陰の谷を歩くことがあっても、
私はわざわいを恐れません。
あなたが私とともにおられますから。
あなたのむちとあなたの杖、
それが私の慰めです。(新改訳)


たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、
わざわいを恐れません。
あなたがわたしと共におられるからです。
あなたのむちと、あなたのつえはわたしを慰めます。(口語訳)


たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む(文語訳)


死の陰の谷を行くときもわたしは災いを恐れない。あなたがわたしと共にいてくださる。あなたの鞭、あなたの杖、それがわたしを力づける。(新共同訳)

<感想>
 特徴ある訳文は、新共同訳のみが「力づける」と訳し、他は「慰める」と訳したナーハームということば。英訳ではcomfort。

 「主は私の羊飼い(牧者)」で始まるこの詩篇。羊飼いの導きにしたがって死の陰の谷を歩む羊の姿と、押し迫る死地を主の導きに従って歩む「私」の姿が重なってイメージされる。
 「あなたの鞭と、あなたの杖が私の慰め」というのはどういう意味だろう。鞭と杖でもって迷いだそうとする愚かで頑固な羊の鼻先を羊飼いが、時にちょんちょんと打つことを意味するのだろうか。とすれば、「私」が道を誤りそうになるたびに主が与えてくださる戒めを意味するのだろう。それは少々痛いけれども、それを慰めだと受け止める。 あるいは、続く節に記される「敵」、狼や獅子を撃退するための道具としての鞭と杖なのだろうか。両様に解しておきたい。
 「死の陰」と訳されるのはツァルマヴェートは「深い闇」という意味のことば。ツェルは陰、マヴェートは死。死者の国を特徴付けるものとしての闇という意味でヨブ記では用いられている。
 今朝も囚われの身である後藤健二さんのことを思って祈る。