苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

憲法改正にかんする正論

矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』のパート3には、憲法問題にかんする正論が書かれています。すなわち、
1.日本国憲法は、そこに鈴木安蔵植木枝盛の民権思想や幣原の戦争放棄の提案など日本人の思想が影響しているとしても、その条項を立て、書く権限をもっていたのはGHQであった以上、それはGHQによる「押し付け」であるし、長年にわたり、その事実を隠してきたのは、欺瞞である。
2.とはいえ、たしかに「押し付け」ではあるが、その人権条項をはじめとして、当時の日本人は、これほどよい物を書くことができなかったこともまた事実である。(筆者:鈴木安蔵のことを思うと、そうも断言できないが、松本委員会については、まさにそのとおり)
3.戦勝国によって押し付けられたこと、人権を認めすぎていることを取り上げて、18世紀的な人権制限憲法(国権主義憲法)への改悪を主張するのが右翼改憲派であり、 他方、押し付けであっても、内容が基本的人権を保証するよいものであり、また、そこに日本人による明治の自由民権思想と戦争放棄がはいっているのだから、これでよいのだとしてきたのが左翼護憲派である。
 右翼は憲法を悪く変えようとするので、左翼はいっさい変えないということに終始し、自分たちの手でより良いものに変えようという流れが存在しなかったのが悲劇である。
4.だが、実は、左右ともにまちがいである。「押し付け」の事実が国民の眼前に出されてしまった以上は、「押し付け」でなく正しい手続きを持って、正しい内容の憲法をつくりなおすべきである。すなわち、政府でなく国民の代表から成る憲法制定会議を開き、権力を制限し基本的人権をきちんと守る民定憲法をつくりなおすべきである。


・・・という正論です。このうえなく正論であるものの、かりに「国民の代表から成る憲法制定会議」を開くとして、その国民の代表がどう選ばれるのかとか考えると、むずかしいことだなあと感じます。