苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

気象庁「週間火山概況」9月11日

 御嶽山が噴火し多くの犠牲者が出てしまいました。遺体収容のために、今日は千人体制で自衛隊・消防・警察の隊員たちが山に登っています。二次災害がないようにと、また、ご遺族に慰めをと祈ります。

 国土交通省気象庁のHPというのを初めて開いてみたら、「週間火山概況」というものが発表されていることを知りました。(平成26年9月5日〜9月11日)のものもあります。下の通りです。
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/weekly_report/2014/2014w37/2014w37.htm

【噴火予報発表中の火山の活動状況及び予報事項】
御嶽山 [噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)]
 剣ヶ峰山頂付近を震源とする火山性地震が10日昼頃から増加し、11日は85回発生しています。日回数が80回を超えたのは、2007年1月17日以来です。振幅はいずれも小さく、火山性微動は発生していません(図4)。
 噴煙及び地殻変動の状況には特段の変化はありませんでした。
 御嶽山では、2007年にごく小規模な噴火が発生した79-7火口内及びその近傍に影響する程度の火山灰等の噴出の可能性がありますので、引き続き警戒してください。

 なんだか文章の表題と内容がひどく矛盾しているような気がします。つまり、文章の内容は今にも火山灰の噴出が起こりそうなのですが、表題は「噴火警戒レベル1、平常」となっているのです。
 グラフを見ると、たしかに文章に書かれたとおり10日正午から11日正午にかけて急激に火山性地震が増えていることがわかります。

図4 御嶽山 時間別地震回数(9月5日〜9月12日12 時)
 火山学の見地からすれば、今回程度の水蒸気噴火は前回と同様、小規模なものだそうです。ですが、前回は観光シーズンでなかったせいで被害者ゼロだったので、今回も深刻に受け止められなかったのかもしれません。しかし、今回は観光シーズン真っ最中でした。火山学的には小さな異変であっても、そこに生身の人間がいたら、ひとたまりもありません。
 ラジオでは、シーズン真っ最中なので、地元観光産業への遠慮があったのではないかという推測が話されていましたが、実際のところはわかりません。大地震にせよ噴火にせよ、予知が100パーセント的中するわけではないだけに、経済的影響が大きい場合には、「危険です」と発表することはもむずかしいことのようです。

 九州電力川内原発もまた火山の噴火が懸念されていながら、誰も「安全だ」と保証しないままに、九電・産業界の経済的理由が最優先されて再稼動されようとしています。国も産業界も警告を受けながら、それを無視して同じ過ちを繰り返そうとしているように思えてなりません。

登山に話を戻すと、結局、山登りする前には、国土交通省気象庁のHPを結論だけでなく、中身をきちんと読んで、自分で判断しないといけないということになりそうです。

追記
 こちらに大変詳細に分析されています。噴火の予測というのは、専門家にとっても非常にむずかしいことがわかりました。そして、上にラジオで推測されていたような事情もやはりあるようです。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/199920.html