苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

聖書と考古学

 四月二十七日(日)、聖書考古学・聖書地理の専門家の菊池実先生をお迎えして講演会を開こうとしています。午前十時からの礼拝のなかでのお話と、昼食後、午後二時からのお話です。どんなオリエント考古学の史料から、聖書の奥深い世界についてお話しくださるのだろうかと楽しみにしています。読者のみなさん、クリスチャンでなくても大丈夫です、どうぞご参加ください。
 聖書という書物は、歴史書・法律文書・詩歌集・手紙などのジャンルの六十六の巻物から構成されていますが、もっとも多くの部分を占めているのは歴史的部分です。神様は、歴史上の事件や人物の人生を通して、みこころを啓示されました。ですから、エジプト、パレスチナ、シリヤ、メソポタミアといった地域の遺跡を発掘したり、歴史を調べてみれば、聖書に書かれていることがらの背景を知ることができます。オリエント考古学は二十世紀急速に進歩しました。
 そういえば先日、私もひとつ「発見」をしました。聖書には、紀元前二千年頃、メソポタミアのウルというユーフラテス河口部の都市国家アブラハムは住んでいたが、彼の末弟の死後、一族は川をはるばる何百キロもさかのぼって源流域カランに移住した、と書かれています。今まで読み過ごしていたのですが、今回「なぜだろう?」と思って、ウルの歴史を調べてみました。すると、アブラハムの一族が住んでいたウルは、紀元前二○○六年、東のイラン高原エラム人が襲来して攻め滅ぼされたと、粘土板に記された楔形文字の記録にあるとのことです。だとすると、きっとアブラハムの一族は亡国の悲しみの中、戦乱を逃れてはるばるユーフラテスの源流域へ移住したというわけでしょう。もしかすると、アブラハムの弟は、エラム人との戦闘のなか斃れたのかもしれません。聖書の行間のドラマが見えてくるような経験をしました。
 このように、聖書にしるされたさまざまな出来事には歴史的な背景があります。とくに二十世紀になって急速に進歩したオリエント考古学の成果によって、その事実性があきらかにされ、あるいは聖書の記事の意味がさらに正確に深く理解されるようになってきています。
 今回お迎えする菊池実先生のおじいさんは、南佐久郡南牧村広瀬のご出身とうかがっています。興味津々の聖書のお話を、とてもわかりやすくお話してくださいますので、今回の講演会に、あなたもどうぞいらしてください。実は、誰よりも私自身が首を長くしています。

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講演会 聖書と考古学
講師  菊池 実 先生

東京基督教大学准教授)
日時 四月二十七日(日)
    講演1 午前十時―十一時半
    講演2 午後二時―三時半
場所 小海キリスト教

 菊池実先生は、法政大学文学部史学科、東京基督教短期大学専攻科を卒業後、エルサレム大学院大学で聖書歴史学を学ばれました。帰国後は牧師として教会に仕えるかたわら、東京基督教大学で、歴史地理・パレスチナ考古学・ヘブライ語を教えてこられました。
 聖書歴史の専門家でいらっしゃいますが、同時に、長年、牧師として子どもからお年寄りまで多くの人たちにわかりやすく聖書をときあかして来られましたから、誰にも深くかつわかりやすくお話をしてくださいます。
 どうぞ、ご参加ください。
(通信小海2014年4月 247号より)