苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

「新しい歴史教科書」系の教科書を押し付ける文科省

 沖縄の竹富町に中学公民教科書を「新しい歴史教科書をつくる会」系列の教科書に換えるように、文部科学省が圧力をかけているという報道に接した。とんでもないことである。
http://www.asahi.com/articles/ASG297WVWG29UTIL053.html?ref=rss


 歴史を振り返れば、もともと文部省〜文科省は、国家神道をもって国民を「愛国心」に染め上げることを目的とした神祇官教部省の流れを汲む政府機関である。それは、黙示録13章における第二の獣(地からの獣)にあたる。


以前、『新しい歴史教科書』(草思社)についてのメモがあったので、以下に掲載しておく。

『新しい歴史教科書』の問題点
       2001年6月14日

1.皇国神話・天皇
神武天皇の東征伝承と建国記念の日の記述。p36
日本武尊弟橘媛―国内統一に献身した勇者の物語pp42,43
・日本の神話―古事記イザナギイザナミ伝説、天照大神スサノオの命。天孫降臨と神武東征と初代天皇就任。pp60−63
(言うまでもなく、これらはみなフィクションである)

昭和天皇の美化のためだけに2ページを割く。pp306−307


2.戦争・国際関係
大東亜戦争(太平洋戦争)。真珠湾攻撃が奇襲であったこと記述なし。日本の緒戦の勝利がアジアの人々の希望となったという強調。p277
・特攻隊員の遺書で軍隊と戦争を美化し、他方で沖縄戦における一般住民の死が日本軍によってもたらされた事実をいっさい記述していない。p279
・大東亜会議が理想主義的なものとして記述されている。p281
・戦争の悲劇。他国の残虐(米国の東京大空襲、原爆投下、ソ連ナチススターリン、台湾国民党、中国共産党)については数字を挙げて詳述するのに対し、日本軍の残虐についてはさらりと流す。たとえば秀吉の朝鮮出兵のさらりとした記述(p121)。南京事件の史実性は疑問であるとし、強制徴用、従軍慰安婦について言及はいっさいなし。pp288−289、p295,p297
大東亜戦争への罪悪感は不当な東京裁判とGHQの宣伝攻勢によるという。p295


3.国旗と国歌。教育勅語
・日の丸の由来を太陽崇拝、天照大神から説き起こす。pp186-187
教育勅語全文掲載。「近代日本人の人格の背骨をなすものとなった。」と。p215


4.憲法
日本国憲法は米国の押し付け憲法であるという意味の記述のみで、戦争放棄条項が幣原首相の発案であることや、国民がこの憲法を喜んで受け入れたことはいっさい記さない。pp291,292