苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

首相発言の不可解さ

 今般の靖国参拝にかんする首相談話について、もうひとつ書いておくべきことがある。それは、首相が言っていることがあまりにも異様であるという点である。
 首相は談話の中で、「日本は戦後、自由と民主主義を守ってきた。その下に平和国家としての歩みをひたすら歩んできた。この基本姿勢は一貫している。この点において一点の曇りもない。」と言い、「われわれは過去の反省の上に立って戦後しっかりと基本的人権を守り、民主主義で自由な日本をつくってきた。そして今や、その中において世界の平和に貢献している。今後もその歩みにはいささかも変わりはないということは重ねて申し上げておきたい。」

 だが、安倍首相は、これまで誰もが知るように、「戦後レジームからの脱却」ということをさんざん声高に述べてきた。「戦後レジーム」とは国内的にいえば、日本国憲法のいう<国民主権基本的人権の尊重・戦争放棄による平和主義>である。安倍首相は、戦後レジームからの脱却を唱えるだけでなく、実際に、第一次安倍内閣では教育基本法国家主義を打ち出し、最近は特定秘密保護法強行採決し、共謀罪を準備し、武器輸出三原則も緩め、集団的自衛権行使の名の下にこの国を戦争をする国に変えてしまおうとしている。また基本的人権の根っこにある「生存権」を具体的に保障する生活保護をはじめとする福祉予算をカットして軍事費をふやしている。そして、目指すのは憲法改変であり、そのシナリオである自民改憲草案では、「公益及び公の秩序に反しない限り」という文言を重ねて基本的人権を制限している。要するに「戦後レジーム」から脱却して、アンシャン・レジームに復古しつつあるのである。
 安倍首相はなぜ、前言ったことと今言っていることが正反対であっても平然としていられるのだろう。やっていることと、言っていることがこれだけ違っていて、なぜ平気なのだろう。「TPP絶対反対→TPP絶対推進」、「放射能は完全にブロックされています」とあわせて異様な感じがする。