苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

信州の秩父事件

 祈祷会が終わった後、近所の人からお借りしていた「信州の秩父事件」というビデオを見ました。

 小海町には、明治17年に起きた自由民権運動のひとつ秩父事件の最後の戦場があります。政府の貧富の格差を拡大する暴政・無策に対して抗議の声を上げて、秩父で蜂起した農民たちは十国峠を通って信州南佐久に入り、ここ小海の東馬流に本陣を構えて、その近辺で高崎鎮台の兵士たちと最後の戦いをして、破れたのでした。困民党の指導者のひとり菊地寛平と井出為吉は北相木村出身でした。

 わが国政府は長年「秩父暴徒」と彼らを呼んできましたが、戦後の研究者たちはむしろここに、我が国における庶民による民主主義運動の出現と見るようになってきました。武士階級が起こした明治維新政府には農民は入り込む余地がありませんでした。農民は全国人口の8割もいたのに。明治17年にして起こった秩父事件は、遅れてやってきた草の根による明治維新、民主主義運動であると理解されるようになっています。

 現代の教科書では、秩父事件についてどのように書かれているのでしょう? 最近のこの国の動きと重ね合わせて、気になります。


映画『草の乱
http://www5b.biglobe.ne.jp/~hyogocc/3sakuhin/kusanoran/kusanoran.html

ビデオ
http://www.amazon.co.jp/%E8%8D%89%E3%81%AE%E4%B9%B1-DVD-%E7%B7%92%E5%BD%A2%E7%9B%B4%E4%BA%BA/dp/B000VZTWT4


追記
新約聖書的にいえば、暴力革命は正しい道ではありません。ですが、民主主義の歴史上のひとつの過程として、きちんと評価されることが大事なことであると思います。フランス革命にかんする見方については、下記リンク先を参照。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20130104/p1