苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

憲法・王・平和


<要約>
 8月15日が近い。あの敗戦は明治維新以来、富国強兵政策で突き進んできたわが国の破綻を意味していた。今、日本の平和主義が脅かされている状況のなかで、みことばに耳を傾け、かつ、祈りたい。

17:16 王は、自分のために決して馬を多くふやしてはならない。馬をふやすためだといって民をエジプトに帰らせてはならない。「二度とこの道を帰ってはならない」と【主】はあなたがたに言われた。
17:17 多くの妻を持ってはならない。心をそらせてはならない。自分のために金銀を非常に多くふやしてはならない。

  17:18 彼がその王国の王座に着くようになったなら、レビ人の祭司たちの前のものから、自分のために、このみおしえを書き写して、
17:19 自分の手もとに置き、一生の間、これを読まなければならない。それは、彼の神、【主】を恐れ、このみおしえのすべてのことばとこれらのおきてとを守り行うことを学ぶためである。
17:20 それは、王の心が自分の同胞の上に高ぶることがないため、また命令から、右にも左にもそれることがなく、彼とその子孫とがイスラエルのうちで、長くその王国を治めることができるためである。(申命記

                    
 申命記は「王は、自分のために決して馬を多くふやしてはならない。」(16節)と権力者を戒めている。ロバは平時の乗り物、馬は兵器である。古来、権力者はどの国であっても、サタンの誘惑にあって軍備拡張・覇権拡大を望む野心を持ちがちである。神は、これを禁じている。
 現在、わが国政府は千兆円を越える借金を抱えていながら、8月6日は空母型護衛艦1200億円を就航させ、来年度の国防予算を1800億円増額して4兆7538億円とするという軍備拡張路線にある。

 「馬をふやすためだといって民をエジプトに帰らせてはならない。「二度とこの道を帰ってはならない」と【主】はあなたがたに言われた。」これは、イスラエルがエジプトと軍事同盟を結ぶなということを意味していると思われる。それは国の主体性を失わせ、エジプトの戦争の下請けをさせられることになるからである。
 わが国は先の戦争後、憲法9条を盾として、66年間米国の戦争に兵士を狩り出されることを拒んできた。しかし、現在、政府は米国の戦争の下請けをする「集団的自衛権」を行使するために9条の解釈を改め、その先には改憲をもくろんでいる。

 王は申命記を書き写して、生涯、これに従う義務がある。それは王が主を恐れて従い(19節)、民に対して高ぶることなく、公僕としての務めを果たすためである(20節)。<法をもって王権を制限する>というのは、18世紀近代国家の立憲主義のスピリットに通じる。憲法というものは、政府の横暴から、国民の自然権(天賦の基本的人権)を守るための道具である。
 ところが、自民改憲草案(2012年4月27日発表)は、憲法を改めて、「公益と秩序のために」、基本的人権としての表現の自由(集会・結社・出版の自由)・財産権・信教の自由を制限しようとしている。その目的は戦争をすることができる体制を作ることである。戦争は、「お国のために」、財産も思想信条の自由もいのちをも差し出すことを国民に要求する。

 現在の政府は日本国憲法を軽蔑し破壊しようとしている。私たちは為政者が憲法を尊重し擁護する義務を果たすように、とりなし祈らねばならない。