苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

サウル王は妙に霊的な人だった

 13:8サウルは、サムエルが定めたように、七日のあいだ待ったが、サムエルがギルガルにこなかったので、民は彼を離れて散って行った。 13:9そこでサウルは言った、「燔祭と酬恩祭をわたしの所に持ってきなさい」。こうして彼は燔祭をささげた。
  13:10その燔祭をささげ終ると、サムエルがきた。 サウルはあいさつをしようと、彼を迎えに出た。 13:11その時サムエルは言った、「あなたは何をしたのですか」。サウルは言った、「民はわたしを離れて散って行き、あなたは定まった日のうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシに集まったのを見たので、 13:12わたしは、ペリシテびとが今にも、ギルガルに下ってきて、わたしを襲うかも知れないのに、わたしはまだ主の恵みを求めることをしていないと思い、やむを得ず燔祭をささげました」。
  13:13サムエルはサウルに言った、「あなたは愚かなことをした。あなたは、あなたの神、主の命じられた命令を守らなかった。もし守ったならば、主は今あなたの王国を長くイスラエルの上に確保されたであろう。 13:14しかし今は、あなたの王国は続かないであろう。主は自分の心にかなう人を求めて、その人に民の君となることを命じられた。あなたが主の命じられた事を守らなかったからである」。(サムエル記上13:8-14)

 
 竜頭蛇尾に終った悲劇の王サウルは、もともと無信心・合理主義的な人ではなく、むしろ妙に霊的だった。彼の登場からして雌ロバを探すために予見者を訪ねてゆくということから始まっている。そして、このギルガルでの戦いのとき、預言者サムエルが来ないうちに、どうしてもいけにえを捧げないままでは勝てる気がしない、民が離れていくので、おのれの分を越えて、いけにえをささげてしまった。また、後の記事を見ると、彼は霊媒のところに出かけたという出来事もある。
 たしかに、サウルは合理主義者ではなく、霊的な人だった。だが、どうもサウルの霊性は健全なものでなく、魔術的なものだった。魔術的というのは、主を畏れ主のみことばにしたがう健全な霊性ではなく、自分の欲望や政治的目的に主を利用しようとする偽りの霊性である。