苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

悲劇の祭司

そしてエリはサムエルに言った、「行って寝なさい。もしあなたを呼ばれたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」。
                  サムエル記上3章9節


 エリは言った、「何事をお告げになったのか。隠さず話しなさい。もしお告げになったことを一つでも隠して、わたしに言わないならば、神があなたを罰し、さらに重く罰せられるように」。
 そこでサムエルは、その事をことごとく話して、何も彼に隠さなかった。エリは言った、「それは主である。どうぞ主が、良いと思うことを行われるように」。 サムエル記上3章17,18節


 
 祭司エリは、まだ歳若いサムエルに預言者の任務の重さがどれほどのものであるかを教えた。預言者の任務の第一は、語ることでなくまずしもべとして神のことばに傾聴することだった。「しもべは聞きます。主よ、お話しください」と。 預言者の任務の第二は、主がお告げになったことを人の顔を恐れず隠すことなく語り告げることであった。
 エリに告げられた主のことばは恐るべきものだった。しかし、エリは主のことばを受け入れ、主のさばきに自らを委ねた。

 祭司エリは二人の愚かな息子を厳しく訓育しなかったことのゆえに低く評価されざるを得ない。だが、主は彼をご自分の主のしもべだと認めておられた。さればこそ、主はこの暗黒時代に光を放つ預言者サムエルの訓育を祭司エリにゆだねられたのだ。また、エリが主の御名の栄誉をになうたいせつな祭司であるからこそ、主はエリの不始末を厳しく罰してのち、ご自分の御許へと引き上げたまうたのだ。
 自らを省みて、託されたみことばの務めの重さを確認し、わが子らが神を畏れる人として育つようにと祈るほかない。