苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

ジェファソンの面白い論法

 昨日、今日、東京への行き帰りの電車のなかで、松本重治「アメリカ民主主義思想の原型」(世界の名著81所収)を読んだ。本書にはフランクリン、ジェファソン、トクヴィル、マディソンらの著述と解説がまとめられている。
 アメリカというのは新しい国と思われがちだけれど、民主主義ということについていえば、アメリカこそ総本家であるという誇りをもっている。この民主主義を世界に広げることを明白なる使命manifest destinyと自覚している国なのである。そのよしあしの評価は別として。
 面白いと思ったのはジェファソンの「イギリス領アメリカの諸権利についての意見の要約」における記述。
「われわれの祖先の祖先であったサクソン人たちは、北部ヨーロッパのその故郷である荒野と森林とをすてて、当時居住民の比較的少なかったブリテンの島を自らのものとし、その後長い年月にわたり、母国の栄光であり、また、その楯ともなってきた法の体制というものを確立したのであった。われわれの先祖が後にしたその母国は、彼らに対し、彼らの上に優越の地位とか、従属の関係とかを主張するというようなことはかつてなかったのである。云々・・・」とジェファソンは、4世紀ないし5世紀、イギリス人の先祖サクソン人たちがヨーロッパ大陸からブリテン島に移住したときのことを取りあげて、今、イギリス本国が米大陸の諸州に優越の地位、従属の関係を主張することには歴史的に見ても不当なことであると論じていることである。なにが面白いといって、千年以上も前の歴史の出来事に訴える、その論法が面白い。
 そういえば、私たちはもっと古い時代に書かれた聖書に、私たちの生きる道を見出しているのである。


サクソン族の移住についてはこちら
http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/021-030/hoeng02.html