苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

津波対策に道路堤を




    散歩道にいたコオロギ






 先月末、津波襲来の危険性が告げられている太平洋側で平野部をもつ静岡県高知県、宮崎県とそれぞれの自治体にメールを差し上げた。静岡県袋井市からはていねいなお返事をくださったのに感心した。
 311以前なら、私自身、素人がこんな意見書を出すことは玄人は全部検討済みだろうから無意味だと思っただろうが、311の原発の対策や、津波対策などの現実を見て、利害関係のない素人に時として見えることもあると感じて、あつかましく出してみた次第。


迫っている大地震にともなう大津波について、頭を悩ましておられることと存じます。ぶしつけなメールで申し訳ございませんが、東北の津波の経験から、いくつかの教訓を確認すべきと存じます。


1.海岸線の防潮堤ではその高さを越える津波は防げない。
 津波は防潮堤を越えて行き、引き波でことごとく防潮堤は海側に倒れてし まった。つまり防潮堤は押し波には一応耐えたようだが、波が防潮堤を越えて飲み込まれると、裏が洗掘されさらに浮力も 働いて倒れてしまった。
 改善策として、防潮堤を地盤に差し込むように提案され、浜岡原発でも実施されているが、いったん水が防潮堤を越えてしまったばあい、水が滞留するだけではなかろうか?


2.東北で防潮堤を越える津波に対して実際に有効だったのは、海岸線から2km〜3kmほど奥に築かれていた仙台東部道路の堤だった。それは、津波は水深が浅くなる と急速にエネルギーが衰える性質があるからである。静岡県でも「二線堤」として道路の盛り土が機能したことを指摘しているが、これはとても大切な指摘。


3.したがって、津波対策としては
a. 海岸線に防潮堤をさらに高くすることもさることながら、むしろ海岸線から2kmほど内陸部に、 道路や鉄道の堤を兼ねた防潮堤を築くことに力を注ぐべきである。
b. それを幅を広めに造り、駆け上ることができるようにしておけば、避難場所にもなる。実際仙台東部道路に多くの人が避難して助かった。住民は以前から、津波の時に、この道路を避難場所にしてくれるように役所に要望していたが、役所が動いて階段をつけたのは津波のあとのことである。
c. 内陸防潮堤としての道路の海側の家々や施設は、山側に移動するように進めることが肝心である。


4 参考になさってください。
仙台東部道路の堤が津波の侵入を防いでいるビデ オ
http://www.youtube.com/watch?v=yZKOCN-aVCw&feature=related


中日新聞記事
http://www.chunichi.co.jp/article/earthquake/sonae/20120604/CK2012060402000005.html


袋井市からの返事

            総務部防災課防災計画係
津波時対策に道路堤を」について(回答)



秋冷の候、ますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃から本市の防災行政につきまして、御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げますとともに、今回メールにて、津波対策に対するご提言をいただき誠にありがとうございます。
さて、本市が進める津波対策の状況につきまして、ご説明させていただきます。
本市におきましては、東日本大震災における甚大な津波被害の発生状況を踏まえ、新しい想定が発表されるまでの間、海抜5m以下の区域(海岸から概ね5km)を「津波避難対象地域」として位置づけ、命山の整備をはじめ、公共施設の改修、民間事業所や共同住宅などの民間施設との連携による避難場所の確保対策、また、静岡県との連携による海岸砂丘の堀割部(サーファーや釣り人の通路で砂丘の低くなった部分)の埋め戻しなどの強化対策を進めています。
こうした対策を進める中で、8月末に、内閣府から「南海トラフの巨大地震による津波高、浸水域等」が発表され、本市におきましては、津波高「10m」、
浸水域「1.7㎢(1㎝以上の浸水)」と住宅地における浸水はほとんどなく、「本市浅羽海岸に面する防潮堤9mとその背後の砂丘12mで、10mの津波は防御される」という想定に基づくものでございました。
しかしながら、この想定は、砂丘の強度や河川の遡上などが十分に計算されていない部分もあり、本市では、今後、独自に津波シミュレーションを実施し、津波の浸水域や浸水深などを再検証した上で、避難場所の確保対策の再検討を行うとともに、水草様からご提案がございました道路の嵩上げなどの津波防護施設の整備などにつきましても、国や県と連携を図りながら、さらなる検討を進めて参りたいと考えております。
今後も、本市といたしましては、水草様からの貴重なご意見や東日本大震災における被害状況などを教訓に、さらに幅広く視野を持って、引き続き市民と行政、地域が一体となった防災対策の推進・強化に努めて参りたいと存じますので、今後ともご理解ご協力の程、よろしくお願いいたします。


担 当 総務部防災課防災計画係**
TEL ********