苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

医者か政治家か

 毎日新聞は8月26日に福島県の子どもたちの検査の結果、今年3月末までに受診した3万8114人のうち35.8%にあたる1万3646人で結節(しこり)やのう胞(液体がたまった袋状のもの)が見つかり、186人が2次検査の対象となった発見されたことにかんする記事をとりあげている。(9月11日に発表された検査では、さらに43パーセントに増えている。ちなみに2000年に放射能汚染のない長崎での同様の検査結果では0.8%である。)この記事の末尾に福島県立医科大学副学長山下俊一氏のインタビューがあり、こんなくだりがあった。

記者:放射線の影響をどう判断するのか。

山下俊一:小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。
http://mainichi.jp/select/news/20120826k0000e040108000c8.html

 目を疑った。0.8パーセントが「一定の程度」なのに、福島では43パーセントであるのに、山下氏はまったく平気なのである。
 山下俊一氏の使命感は目の前のこどものいのちを救うことではなく、国家財政の崩壊を救うことにある。たしかに国家財政の破綻は保健行政の破綻にもつながり、ひいては多くの国民の健康被害にもつながりうるのだという理屈である。氏は、医師にではなく政治家になるべきであった。そういうところが福島県知事に見込まれて長崎から呼ばれたのであろうけれども。
 このごろ、民主党代表選、自民党総裁選で候補者たちが、ひとりの国民も住んでいない尖閣諸島がらみで、「・・・国土と国民の生命・財産を守るのが国家の使命」とかいうセリフを、福島の子どもたちをほうっておいて勇ましくしゃべっている。
 医者は医者であってほしい。・・・ああ、牧師は牧師であってほしい、と言われますね。

★先日もお勧めしましたが、読者に下記の署名をお願いします。
 3.11以後、最悪の健康被害の発表「女子小学生の54.1%、女子中学生の55.3%に『のう胞』発見」
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2012/09/blog-post_14.html

オーストラリアのヘレン・カルディコット医師の警告。
「この子ども達は追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が1年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5〜10年かかるものです。これは、子供達が大変高線量の被ばくをしたことを意味します。もしも悪性なら、甲状腺の全摘出が必要です。子供達に甲状腺結節やのう胞があるのは、まるで普通ではありません!」