苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

人間理性の頼りなさ(4)

 先に、今日ではホモ・エレクトゥスと呼ばれるいわゆる北京原人ジャワ原人を取り上げた。追記したように、今日ではミトコンドリアDNAの解析によってホモエレクトゥスは、人類の祖先ではなかったことが確認されている。つまり、絶滅した類人猿にすぎなかったのである。この際、ついでに最古の人類の先祖とか呼ばれているアウストラロピテクスについて昔書いた文章に少し加筆してここに載せておく。

 最 古 の 化 石 人 類 と い わ れ て き た の が ア ウ ス ト ラ ロピ テ ク ス で あ る 。1 9 2 4 年 南 ア フ リ カ の ベ チ ュ ア ナ ラ ン ド の タ ウ ン グ で 最 初に 発 見 さ れ 、 R . ダ ー ト に よ っ て 紹 介 さ れ た 。 こ れ は 洪 積 世 初 期 ( 17 0 万 年 前 )の 地 層 に あ っ た と 言 わ れ る 。1 9 5 9 年 に 東 ア フ リ カ のオ ル ド バ イ 渓 谷 で 、リ ー キ ー 夫 妻 が 発 見 し た ジ ン ジ ャ ン ト ロ プ ス も アウ ス ト ラ ロ ピ テ ク ス の 一 種 で あ る 。
 こ の ア ウ ス ト ラ ロピ テ ク ス が 人 類 の 祖 先 で あ る と 進 化 論 者 が 主 張す る 証 拠 は 、歯 列 の様態で あ る 。そ の 歯 列 の 角 度 か ら す る と ア ウ ス ト ラロ ピ テ ク ス は 人 類 の 先 祖 で あ る と い う 。し か し 反 対 論 に立つ歯科医は 、多くの患者の あ ご や 歯 列 を示して、あごと歯列には 非 常 に 個 人 差 が あ っ て 、あごと歯列を 根 拠 と し て 、アウストラロピテクスが 人 類 と 判断することは不可能であると主張している。
 1 9 7 2 年 リ ー キ ー 夫 妻 が興味深い発見をした 。彼 ら は ア ウ ス ト ラ ロ ピ テ ク ス の 骨 を 掘 り 出 し た 場所の下 の 地 層 か ら(つまり、より古いとされる地層から)現 生 人 類 の 完 全 な 頭 蓋 骨 KNM−ER1470を 発 見 し た 。KNM−ER1470はサイズこそ小ぶりであるが、その形は額の高さにせよ、頬骨にせよ現生人類と変わらない。上のアウストラロピテクスの頭骨と、下に挙げた現世人類の頭骨と比較すれば一目瞭然である。リーキー博士夫妻が科学者としてすばらしいのは、デユボアのように進化論の学生に不利なこの決定的証拠を隠さなかったということである。
 サイズの小ささは下等さを意味しない。もしサイズの大きさでその生物の高等・下等がきまるなら、北欧人はラテン人より進化しており、ラテン人はピグミーより進化していることになる。ゴリアテはだれより進化した人類だったことになってしまうだろう。チワワはグレートデンよりもずっと下等なイヌの先祖ということになってしまうが、そんなことは誰も認めない。


 KNM−ER1470

 現生人類ホモ・サピエンス(グリマルディ人 アフリカ系)

  もちろん、なおもアウストラロピテクスを最古の人類の化石だと主張している学者たちは、こういう状況を見ても、地層の混乱、逆転層などというなんらかの理屈をつけるのであろう。人間の理性はじつに頼りないもので、意欲の望むところにしたがって理屈をつけるのだ(主意主義)。だが実際に化石の証拠が告げている事実は、ア ウ ス ト ラ ロ ピ テ ク ス の い た 時 代 に 、す で に 現生人 類ホモサピエンス は 生きていた ということで あ ろう 。 つまり 、 ジ ャ ワ 原 人 や ペ キ ン 原 人 と呼ばれたものの頭骨と 同 じ よ う に 、 ア ウス ト ラ ロ ピ テ ク ス も 今はすでに絶滅してしまったまた別種の サ ル の頭骨だった と い う のが正常な判断だと思う 。そも そ も ア ウ ス ト ラ ロ ピ テ ク ス と は 「 南 の 猿 」 と い う 意 味 で あ る 。
  いわゆる化石人類に関することを少し調べてみると、私たち人間の理性というのは、客観的に証拠を判断するのが非常に苦手で、自分が証明したいと思う説に都合の良い証拠だけをピックアップして、自分の都合のよいように解釈するという傾向がとても強いのだなあと実感させられる。論文など書いた経験のある人は、胸に手を当てて振り返ってみると良い、身に覚えがあるはずだ。


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http://butakabon.blogspot.jp/2011/10/blog-post_30.html
http://www.e-t.ed.jp/edotori3903101/kaitou01.htm