苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

現実的なエネルギー政策

 原発を再稼動して、徐々に自然エネルギーを同時開発していくというのが、段階的脱原発論であって、多くの人はそれが常識的・現実的だと思っているだろう。だが、筆者はそう思わない。

1.大地活動期にある日本ではここ五年ほどの間に、大きな余震が来る可能性が高い。
<2004年以降のスマトラ沖地震年譜>
2004年12月26日に、M9.1、津波で死者21万人以上。
2005年3月28日に、M8.6。
2007年9月12日に、M8.5。
2009年9月30日に、M7.5。
2010年4月にM7.8、5月にM7.2、10月にM7.7

原発は稼動していても停止していても危険なことは同じじゃないか」と無茶なことを言う人がいるが、まちがいである。原発は稼動中と停止中で危険度が全然ちがう。停止すれば300分の1まで発熱量が下がる。福島第一もとりあえず制御棒が入って停止できたので、格納容器の外の水素爆発ですんで、炉そのものの爆発は免れた。もし、制御棒が入らず停止できず、炉そのものが爆発したなら、ほんとうに東日本はおしまいどころではすまなかっただろう。

今回、大飯原発の再稼動をきめた「暫定基準」をあてはめれば、全国の原発50あまりどこでも再稼動OKだろう。そうすると、もう一度、原発震災が起こる可能性が相当高くなる。浜岡原発を再稼動して、311以前でさえ「30年以内に87パーセント」とされていた直下型巨大地震に襲われると、制御棒を入れる暇もなく破綻する。となるともはや経済再建どころのさわぎではない。また、若狭湾敦賀湾も14基の原発の並ぶ原発銀座である以上、ここが破綻する可能性は確率的に高い。1948年福井では阪神大震災以前では、史上最多の犠牲者を出した福井大地震がおきている。若狭湾のいずれかが破綻すれば、関西・中部はアウトである。

こうしてみると、経済再建のために原発再稼動をするのが現実的とは私にはどうしても思えない。じゃあどうするか。


2 原発再稼動は避けて廃炉に向けてゆく。ただし、そのためには電力会社が経営破綻して原発管理ができなくならないように手当てをしなければならない。

 原発を再稼動しないと、電力会社とくに原発依存度の高い関電のばあい2〜3年で債務超過に陥って経営破たんすることが予測される。一つには、原発が再稼動できないとなれば、それがもつ莫大な資産価値を失ってしまうからである。また、使用済み核燃料もゴミとなる。これまで核燃料サイクルが可能だというタテマエで、使用済み核燃料も電力会社の資産とされていた。また、これらの資産を総括原価方式にあてはめて電力料金を算定していたのに、それがゼロとなれば電力料収入も激減する。さらに、原発が使えない分、火力発電の燃料を買わねばならなくなる。これでは電力会社は持たない。
 もし電力会社が倒産すれば、数十年かけて安全に廃炉に向けて管理することもむずかしくなる。廃炉にむかう全原発を国の管理下におくといっても、そのコストに今の政府は耐えられるだろうか? 政府が国策で電力会社に原発を強いてきた以上、電力会社を支援しつつ、廃炉にむけてゆくほかないのではないか。
 *電力会社が原発をやめられない本当の理由
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120608/p2

3 次のエネルギーについて

 筆者はいわゆる自然エネルギー開発は無用であると見ている。理由はいくつかある。

(1)火力だとCO2が出るという心配は無用。CO2地球温暖化説はウソだから。むしろ、今後の地球規模の食糧危機にむけて、植物の光合成をうながすCO2が増えることが望ましい。(渡辺正地球温暖化神話 終わりの始まり』丸善)
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120512/p2
追記2012年7月27日>
 「いやCO2地球温暖化はウソではないですよ」と、最近知り合いになった、著明な天文学者の方がおっしゃっている。利権にあずかっているわけでもなく、科学者としておっしゃっていることが分かる方なので、もう一度勉強しなおそうかと思っているところ。

(2)石油はほんとうになくなるのだろうか?戦前から石油業界はあと20年で石油がなくなるといい続けて価格を維持してきた。石油無機起源説によれば、石油は化石燃料ではなく、いわば「マントルの汁」だからなくならない。もっとも、現在は天然ガス火力がほとんどで石油火力は用いられていないからホルムズ海峡封鎖は停電と直結しない。
 http://www.knak.jp/livedoor/oil/mukikigen.htm)。
(3)石炭も莫大にある。今は、石炭火力発電も今はガス化複合型となって、排ガスもクリーンである。
(4)2000年代になって莫大な埋蔵量があるオイルシェールの利用が可能になり、価格が安くなったので、天然ガス発電で大丈夫。これで実際のところしのいでいくことができる。
http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120514/p1
(5)さらに、日本海には、太平洋とちがって利用しやすい状態でメタンハイドレートが莫大に存在する。日本海メタンハイドレートからガスを取り出せば、燃料費がコストダウンできる。これによって電力会社を助けられるのではないか。国はこれまで過去10年太平洋側の利用困難なものの調査を進めてきたが、この危機的状況においては、まず利用がかんたんな日本海側の採掘を進めるべきである。

http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120525/p1
・・・とまあ、大雑把にこんなふうに思っている。

渡辺正地球温暖化神話 終わりの始まり』を読んでください。