苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

脱原発は試金石  追記7月16日

 菅首相が「脱原発」を明確に打ち出したら、世間の流れに気を遣って「脱原発」も視野にあるふりをしていた読売新聞が原発利権派としての本性を露わにし、猛然と牙をむいた。もともと、読売は中曽根康弘といっしょに日本に商用原発を持ち込んだCIAのエージェント正力松太郎の新聞であるから当たり前だが。「脱原発」は、その人物や組織が、どれほど原発利権と癒着してきたかを露わにするという意味で、ある程度試金石となる。もちろん、菅氏のリーダーシップに問題を感じて、という動機で動いている人もいなくはないかもしれないから、これだけでレッテル貼りをするのは乱暴であることはわかっているが。
 経団連の米倉会長は東電になりかわって、とくに発電送電分離が話題とされ、浜岡原発停止がされたときから菅直人首相を攻撃し続けているが、ここにきて一層ボルテージを上げた。経団連としては、電力の安定供給が産業の生命線であるから、その立場はわからなくはない。しかし、その発言を、読売は「代替策なき『脱原発』」などとほとんどウソの大見出しを掲げて、国民を菅下ろしへと誘導している点に問題を感じる。
 政界でなお原発にしがみつく議員たちは「地下原発推進議員連盟」に名を連ねる。平沼赳夫鳩山由紀夫西岡武夫羽田孜、石井一、渡部恒三山岡賢次松木謙(元)、自民党では谷垣禎一森喜朗安倍晋三山本有二、山本拓、亀井静香といった面々。亀井氏は菅を支えてもいるので、ほかの人々と違うスタンスかもしれない。この連盟に名を連ねるのは49名いるとのこと。http://pop-rin.seesaa.net/article/206255053.html

代替策なき「脱原発」…産業界への影響深刻
                  読売新聞 7月14日(木)8時48分配信
 菅首相は13日夕の記者会見で、将来的に原子力発電所に頼らないとするエネルギー政策の抜本転換を打ち出した。
 しかし、具体的な方策がないままでは電力不足に直面する産業界への影響は深刻だ。国策として続けられてきた原子力政策の行方も見通せない。

 実際には、菅首相は、代替策を提示している。記者会見では「来年以降については若干時間がありますので、例えば天然ガスなどを活用した、そういう発電所といったものについてどのようにしていくのか、そういったことも含めて計画を立ててまいりたい」と天然ガス火力についても触れているのである。
以前にも触れたが、近年、天然ガス発電は熱効率60%という非常に優秀なものができている。ちなみに原発は30%。しかも、火力のなかではもっとも環境への負荷が少なく、日本でも三菱重工が優秀なものを造っており、東電、東北電力、関電、九電などすでに稼動している。世界のエネルギー専門家の間では、重厚長大危険な原発の後、発電方法の主役はガス・コンバインドサイクル発電ということで、すでに一致しているそうである。ウランはカロリーベースでは埋蔵量は石油の数分の一しかないから、こんなものに国の将来をたくせる道理がない。

 この夏の見通しについて、菅首相は定期点検中の原発を再稼動しなくても電力は足りるという見通しを示したことについても、読売新聞はかみついている。

 菅首相は記者会見で「国民と企業の理解と協力があれば、この夏もピーク時の節電や自家発電の活用で十分対応できる」と述べ、定期検査中の原子力発電所を再稼働しなくても、電力不足を避けられると強調した。ただ、首相の期待通りに電力の需要削減と供給増を達成できるかは不透明だ。
 自家発電の活用は、企業が自家発電設備で発電し、余った分を電力会社に売電することだ。経団連米倉弘昌会長は13日、仙台市内で記者団に対し、「自家発電のコストは高い。そういうことも知らないで」と述べ、菅首相の方針を厳しく批判した。企業の自家発電の約9割を火力発電が占め、石油や石炭などの燃料調達で発電コストが高くつくためだ。
最終更新:7月14日(木)8時48分

 石油・石炭の燃料調達で高くつくというが、ほんとうだろうか?何度も言うが原発ほど高く、かつ不潔で危険な電力はない。電力会社は、独占企業としてわが世の春をむさぼり続けたいと願っているので、送電線使用料金を馬鹿高く設定して企業が自家発電をもちいて電力市場に参入することを妨害しているから、電気代は高くなっていると聞くが。古い減価償却がすんだ火力発電所を使うと電気代は「総括原価方式」で決まるので、正直にやれば電気代は安くなるはずなのだが。米倉会長は、「そういうことも知らないで」菅批判をしているのかなあ。

 筆者としては、震度7が頻発している活動期にある列島において原発を続けるのは非常に危険だと考える。日本の原発の想定震度はたいてい震度5までなので、震度6がくれば壊れるからである。どうするか?以下のように考える。今年から来春にかけて、すみやかに原発不足分を補うべく、老朽化した火力発電所の中身を天然ガスコンバインドサイクル発電所に順次切り替えていく。原発やダムのような長期の大土木工事は不要。省エネ技術をフル活用する。全原発廃炉に向けて停止する。福島原発の地下ダム建設を始める。再生可能エネルギー技術の開発に力を注いでゆく。

追記2011年7月16日>
作家矢作俊彦ツイッター発言
「王様と臣や敵軍にはただ一点、違うところがある。原発に対するスタンスである。彼だけが再生可能エネルギーへの転換と原発の(段階的)廃止を主張している。そして――ここが肝心だ。彼がそれを言いだしたとき、家臣と敵軍は王様を玉座から下ろそうとし始めた。」
http://togetter.com/li/153442←面白い