苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

もんじゅ 引き抜き成功

日本原子力研究開発機構は24日午前4時55分、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器から、約10カ月間落下したままになっていた重量3.3トンの装置の引き抜き作業を終えた。」(朝日新聞
 もんじゅでは、燃料棒を操作する重量物の落下以来、原発を稼動することも停止することもできない状態のままだった。原発は「止める」「冷やす」「閉じ込める」ことで事故を防ぐものとされている。だから、第一歩の「止める」こともできない状態のまま、ここに地震が来たならば、大事故になることは必至だった。プルトニウムを燃やす高速増殖炉では、水でなくナトリウムが冷却材として使用されており、このナトリウムは空気にふれると火災が起り、水をかけると爆発するというシロモノである。もし作業中に空気にふれて爆発事故になっても、福島第一のように放水して冷やすこともできず、手をこまねいているほかない。とりあえず、よいニュース。非常に危険な作業に携わった方たちに守りがあるように。そして、こんな危険物はすみやかに廃炉とされるようにと願う。
 もんじゅは14年間の停止中も維持管理に毎年200億円もの経費を浪費し、この間2,300億円もの巨費が投資された。1日当たりに直すと、なんと5,500万円。しかも1ワットも発電していない。「事業仕分け」では、経済産業省が世界が見捨てた時代遅れの技術に固執してきたことによって、莫大な税金を無駄遣いしていると槍玉に挙げられていた。だが通産省経済産業省官僚のプライドのゆえか利権のゆえか、その両方のゆえかは知らないけれど、その原子力行政の誤りを認めずに、なお高速増殖炉計画を止めるという話は聞かない。 
 ちなみに1948年に福井には直下型の大地震が来て、近畿地方ではそれ以降大きな地震はなく「静穏期」に入った。しかし、1995年の阪神大震災以来、「活動期」に入って、2000年には鳥取西地震が来ているので、そろそろ福井にも大きな直下型地震の周期が来る。若狭湾敦賀湾に14基の原発が並び立つ原発銀座があり、しかも、敦賀湾のもんじゅプルトニウム発電をする。しかも、「もんじゅ」の直下には活断層がある。「その時」、近畿、中部、関東はどういうことになるのか。大阪府知事がまた関西電力にけんかを売っているのはゆえなきことではない。
 戦後の高度成長期がたまたま地震の静穏期であったので、ばたばたと50基あまりの原発を建ててしまった。今年3月11日までは大きな事故に遭わないですんだ。だが、すでに活動期に入っている現在、この列島の地下と周囲の海底は煮えたぎっている。そのおかげで、日本海側では今年クロマグロが例年の十倍も獲れている。国は大きな決断をすべきときである。

  このごろのカラスは逃げません。堂々としています。かわいい顔をしていますね。