苫小牧福音教会 水草牧師のメモ

聖書というメガネで、神が造られた世界と人間とその歴史を見てみたら、という意識で書いたメモです。

植木鉢に水を注いだら・・・  追記5月27日 情報訂正

 植木鉢に水を注いでしばらくすると、下から水が出てくる。しかも、その水は泥水だ。壊れた原子炉にジャージャー水を注いでしばらくすると、下から出てくる。その水は、燃料棒の成分を高濃度に含んでいた。それなら、炉は破れているにちがいない。・・・あたりまえの話だ。
 さらに植木鉢に水を注ぎ続けたら、下からどんどん水が出てきて受け皿があふれてしまう。原子炉にさらに毎日莫大な水を注ぎ続けたら、下から汚染水がさらに出てきてあふれて困っている。こんなことも想定せずに水を注いだのか?自分に都合の悪い結果は「想定不適当」と無視する習慣がついているから、こんな当たり前のことも考え付かないのかなあ。
 さらに、植木鉢に水を注いでいると、梅雨がおとずれて水がもっとあふれてくる。同じように、梅雨がおとずれれば、原発の水はさらにあふれてくる。これもあたりまえ。
 ・・・・なんだか、こんなあたりまえのことが起っているだけなのに、対策が後手後手に回っている。私たちは、こんな当たり前のことがわからない人たちに原発のような危険なものを任せてきたのか、と我ながら呆れてしまう。
 もし、あの莫大な水を、梅雨にはいったとき、本気で海に流したくないと思っているなら、巨大なタンカーを融通してもらってそれで引き受けてもらうしかないだろうに。東電はカネがかかりそうだからやらないですませたいのであろう。
 だが、東電は汚染水の処理をアレバ社にお願いすることにして契約していながら、コストがいくらかかるかは計算もしていないのだと国会の委員会質問であきらかになった。質問者から「1トン2億円、6万トンで12兆円だと聞いている」と指摘されて、青くなっていた。やっていることがちぐはぐだ。まさかアレバ社が同情してただでやってくれるなんて思っていないだろうに。東電も、それを監督する原子力安全保安院原子力安全委員会も、まともに機能していない。
追記2011年5月27日>「1トン2億円で6万トンで12兆円」というのは国会議員のデマでした。正しくは次のとおり「東京電力は27日、福島第1原発のタービン建屋地下などにたまった高濃度の放射性物質を含んだ汚染水の処理費が総額531億円に上るとの試算結果を公表した。1立方メートル当たり21万円となり、東電が全額を負担する。処理費用を巡っては、総額数十兆円に上るとの臆測も流れていたが、東電側が否定した。」(毎日新聞

 もうひとつ、変なこと。浜岡原発の防潮堤建設のはなし。
 砂浜の波打ち際に砂のお城を作り、お城を守るために海側に砂で堤防を作っても、波が砂をさらっていってしまう。中電は浜岡の波打ち際に原発を造り、これまで原発を守るのはあの砂丘だと言ってきた。だが津波が来たら砂をさらっていってしまうのはあたりまえである。
 お城を守るには、砂じゃだめだと気が付いて、石を拾ってきて海の側に5つほど並べて、「さあできた」と安心していると、大きな波が来て砂浜全体に何メートルも入り込んで引き波がお城を流してしまう。福島の事故を受けて、波打ち際の浜岡原発を守るには、砂丘じゃだめだとやっと認めて、高さ15m,長さ1.5kmのコンクリートの壁を海側に造るのだという。政府もそれが完成したら2年後にはOKを出すという。冗談じゃないとはこのことだ。浜岡原発の両側はリアス式海岸のように山ではなくて平地である。かりに海側の防潮堤が津波で壊れなくても、津波は両脇からどんどんはいって平野全体を水没させて原発を浸し、挙句の果て、自動車や家や材木などを載せた引き波が原発を破壊してしまう。仙台では津波が6km平野に侵入した。 
 なんで、こんな子どもでもわかる道理がわからない人たちが原発を管理し、原子力安全委員会や安全保安院は、そのプランにOKを出すのだろう。筆者は不思議でたまらない。ほんきで浜岡原発津波から守りたいなら、周辺をぐるりと巨大な城壁で囲むほかないのは、浜辺で砂遊びをしたことのある子どもなら誰でも知っている。(まあ、浜岡を襲う地震は真下からの激しい揺れによって、断層ができるから、その城壁もだめだろうけど。)とにかく、中電は、コストがかかることを避けたいと思っているだけなので、あんな不真面目なプランを出してくるのだろう。
 いや、もしあの人たちが真面目に考えて上のようなことを言っているとすれば、事態はもっと深刻だ。植木鉢に水をやったり、砂浜でお城を作ったこともない人たちばかりなのだろうか。二ヶ月ばかり原発の報道に触れてきて、専門家と呼ばれる人たちの知性に大きな疑問を感じている。